ベネズエラ釣り紀行 パヤーラ(ペーシュ・カショーロ)編
ベネズエラ釣り紀行 パヤーラ(ペーシュ・カショーロ)編
ベネズエラでの釣り旅も、日本を出て10日間が経過していた。ピーコックバスは手にしたが、その他にもこの国でどうしても釣りたい魚種がいた。
パヤーラとアイマーラ。
パヤーラとはカショーロのこと。既にキャッチしているが、特大級の姿を一目見てみたい。
そしてアイマーラ。いわゆるタライロンだ。ベネズエラのパヤーラ釣りは有名で、調べれば情報が出てくるが、アイマーラに関してはほぼ情報が無かった。アイマーラの釣りに関してはフレンチ・ギアナが有名だが、ギアナ三国のスリナムやガイアナにも生息。
現地人曰く、ここベネズエラにも大型のアイマーラがいるのだという…シーラカンスを思わせる古代魚フォルムが堪らなくカッコいい。魚の飼育に凝っていた時に、熱帯魚店で何度か目にし、いつかは釣ってみたい…そう憧れた魚の一つだ。もしベネズエラにいるのであれば、一度見てみたい。
前半戦でお世話になった村を出発し次の目的地へ向けて大移動開始。中継地点の町で二日間の聞きこみをして、やってきたのはオリノコ河の支流の一つ。
ブラックウォーターの川だった。川の畔にある街でさらに情報収集。船着場のペスカドール達に話を聞いてみると、「この川にはパヤーラもアイマーラもいるぞ!それもとびきりデカいヤツがな!」「アイマーラを釣りたいなら、もっと上流だ!」「上流に行きたいのか??遠いうえに今は水位が低いから時間もかかる…」などの答えが返ってくる。
話を聞いているとパヤーラはなんとかなりそう。問題なのはアイマーラ。
アイマーラは延縄などの仕掛けにたまに掛かる程度らしく、年に数本獲ってはいるが、狙えるほど魚影が濃くないという。
地図で地形を見て、大体のエリア把握はできたのだが、問題はそこまでの移動。未開のジャングルに道路などなく、ここでは川が道の代わり。船が足となる。
物資運搬船などと交渉するカタチをとるも、上流部まで距離があるため、ボートが出るのは朝一とのこと。この日はこの街で一泊し、次の日の朝にもう一度出直すことにした。
次の日の朝一、上流に向かう船を捕まえ交渉開始。目的のエリアを目指し、ボートで川を遡った。ブラックウォーターの川をボートで遡って数時間。上流に向かうにつれて川の雰囲気も変化。岩場が続き、流れも荒々しくなってきた。船頭曰く、「この辺ならペスカドール(漁師)もいるし、自分達だけでも自由に釣りできるだろう。」…そんなわけで、とりあえず集落前の砂浜に降ろされた。
周辺で手釣りしているペスカドールの姿もチラホラ見えたので、聞きこみをしてみると…この辺りはアイマーラは少ないが、パヤーラは多い。そして近くに巨大なカショエイラ(滝)があり、そこには超ド級が潜むという。現地人に導かれ、ジャングルを歩く…「こっちだこっち!」ジャングルを抜け、崖を下っていくと巨大なカショエイラが見えてきた。轟々と音を立てて流れ落ち、黒い水が渦巻く…足を滑らせて川に落ちれば確実に死ねるレベルだ…しかし、ここは間違いなく魚が溜まる。
焦る気持ちを抑え、タックル準備を済ませた。岸際の大岩に立ち、いたるさんと二人、激流に向ってルアーをキャストしていく。最初に竿を曲げたのはいたるさん。竿が大きく曲がり、巨大な牙が水面を割る…グランデ!パヤーラ!!
一発目から目標を達成し、二人でガッツリ握手を交わした。
次は自分の番。流れ落ちる滝の直下に大型シンキングミノーをキャスト!少し潜らせて、鋭いジャークを数回いれると…
ドスンッッッ!!
強い衝撃と共に竿が絞りこまれた!
追いアワセをいれると同時に下流側に突っ走る魚。岩の上で踏ん張りながら耐えるも、激流という要素も加わって凄いパワー。
強烈な引きに体が持っていかれそうになる。ガッツリと構え、強引に止めにかかると…
カバカバカバァッッッ!!!
巨大な頭が水面を割った!…デカい!!!ルアーはガッツリ掛かっており、バレる気配は無い。足場が高く取り込みに手こずるが、なんとか無事にこの手に抱いた。よっしゃぁぁぁぁぁーーー!!目標としていたサイズを軽く超えるパヤーラ!コイツを獲りたかった!!
この後もパヤーラを嫌というぐらい釣るのだが、今回のベネズエラでパヤーラの最大魚はこいつ。自然界が創りだした荒々しいロケーションでのこの釣り…なかなかに血が騒ぐものがあった。青銀に輝くボディに巨大な頭…太い牙…こいつが激流域を疾走し、豪快なジャンプを繰り出す様は何度見ても興奮モノである。めちゃくちゃカッコいいぞ!パヤーラ!アルマータス!!!
そして最後のターゲット、アイマーラ編に続く…。