アリゲーターガー、ナイルパーチなどの巨大魚も… 「特定外来生物」新たに22種
アリゲーターガー、ナイルパーチなどの巨大魚も… 「特定外来生物」新たに22種
環境省は3月15日、新たに22種の動植物を「特定外来生物」に指定する方針を示した。
特定外来生物とは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(通称:外来生物法)」によって定められる、生態系や人の健康、農林水産業へ被害をもたらすおそれのある生物である。
これら特定外来生物は飼養、栽培、保管、運搬、輸入が原則禁止され、個人が違反した場合は3年以下の懲役あるいは300万円以下の罰金が課せられる。
これまでに指定されていた特定外来生物ではオオクチバスやカミツキガメ、セアカゴケグモなどが頻繁に報道を賑わせてきた。
今回新たに追加が決定された生物の中にも、アリゲーターガーやナイルパーチ、ヨーロッパオオナマズといった全長2メートルを超える大型の肉食淡水魚が含まれており、各所で議論の対象となることが予想される。
国内各地で繁殖しているオオクチバス。
千葉県などで定着が確認されているカミツキガメ。
社会的な「毒グモ問題」を巻き起こしたセアカゴケグモ。
アリゲーターガーは国内での目撃・捕獲例が相次いでおり、繁殖・定着こそ確認されていなかったものの、日本の気候への順応性が示唆されていた。
横浜の河川で捕獲された個体。これはまだまだ小型だが…
原産地アメリカでは全長2メートルに達する個体も珍しくない。写真はテキサス州で釣り上げられた個体。
ナイルパーチやヨーロッパオオナマズも国内における捕獲例が知られており、繁殖してしまった場合、在来種の捕食など生態系への影響が懸念される。
原産地であるエジプトで釣り上げられたナイルパーチ。食用目的の他、スポーツフィッシングのターゲットとして貴重な観光資源になっている。
特にナイルパーチはアフリカ大陸のビクトリア湖へ移入された際に、在来魚類の多くを絶滅に追いやった前例がある。
もちろん、警鐘を鳴らすべきはアリゲーターガーやナイルパーチだけではない。
今回指定される方針が定まった対象には植物や小さなカエルなど、あまり目立たないが生態系への脅威となり得る生物が多く含まれている。
こういった生物こそ、知らず知らずのうちに蔓延り、取り返しのつかない事態を招きやすいもの。大型魚のみならず、これら小さな侵入者への目配りも心がけていきたいものである。
現在、既にこれらの生物を飼っている場合は、環境省からの許可を取得することで引き続きの飼育が可能。
なお、飼育されている個体数が多いアリゲーターガーを含むガー科の魚は周知の期間を設けたのちの2018年2月、その他は今年7月頃に正式に特定外来生物として指定される。
関連リンク:環境省自然環境局 外来生物法について