ナマズ属4種目の新種ナマズ『タニガワナマズ』は筋肉質(東海地方)
ナマズ属4種目の新種ナマズ『タニガワナマズ』は筋肉質(東海地方)
以前、モンスタープロショップで山根央之氏が紹介していたタニガワナマズが2018年8月17日に新種として発表されるに至った。
新種ナマズ!タニガワナマズ(仮称)は日本で4種目となるのか!? ~図鑑に載っていないナマズを追った日々~ | 山根央之ライター
http://www.monstersproshop.com/tanigawanamazu/
新種発表と同時に、居ても立っても居られなくなった私は、山根央之氏の弟の山根正之氏(以下マサ)に声をかけ、釣行の計画を立てた。
日が暮れる前に、東海地方のとある河川の上流域へ。所謂渓流行きに到着した私とマサは、ポイントの下見を終え、仕掛けづくりに取り掛かった。
当日僅かな雨が山林部に降り注ぎ、濁りは酷くないが多少の増水が見受けられた。
如何にも、渓流の雰囲気はアマゴが生息していても不思議でないような環境だった。
息子ほど年の差があるマサに、仕掛けの作り方があまいと終始叱られながら、僕らは13個のペットボトルの仕掛けを仕上げた。その頃には、辺りは薄暗くなり始め、日没を迎えようとしていた。
ペットボトルの仕掛けとは、ペットボトルにナイロンライン号15mに15号の中通しおもりスイベルハリス20LBとチヌ針を付けたものである。
この13個の仕掛けに購入したミミズを付け、明るいうちに下見したポイントに満遍なく設置していった。
効率よく採取を行うために竿での釣りではなく、ペットボトルを広範囲に仕掛ける方法を選択した。
広範囲に1個から2個の仕掛けを設置していく。
小魚に餌を奪われている様で1週目に餌変えにまわった時には、針に付けたミミズは全て喰われているが、針がかりしている仕掛けもなかった。
餌変えも2週目になると慣れてきたもので、手際よく餌変えを行った。2個ほどペットボトルが倒れており、1つにはウナギが掛かっていた。これを私が足元でバラしてしまい、再びマサから叱られれる事になった…。
2つ目のペットボトルで、日本の固有種であるニホンイシガメ(Mauremys japonica)が姿をみせた。
何とか針を外し、元気に帰っていった。
3週目の餌変えにまわる頃には、辺りは漆黒の闇に包まれ、僅かに点在する街灯を頼りに仕掛けを見て回った。2つ目にみた仕掛けが倒れていた。糸を手繰り寄せた時には何も感じなかったが、足元までオモリが寄ってきた時に、糸から伝わる生命感を感じた。一気に足元から抜き上げると、金色に輝くナマズが足元の草の上に横たわった。
外観は殆どマナマズ。体色はイワトコナマズ。
腹周りまでしっかり模様が入っている。
黄斑が体表にしっかり入った個体。
上顎後方歯帯がしっかり2枚に分かれていることを確認。
未だ生態や他のナマズ属との外観の違いが明確になっていない、このタニガワナマズ。現状において判っている範囲で下記に整理しておきたい。
⓵身体が他のナマズに比べて細い
⓶お腹周りは白くなく模様が入っている
⓷体色は近似種であるイワトコナマズに似る
⓸比較的河川の上流域の水のきれいなところを生息地とする。
⓹上顎後方歯帯が2枚に割れている。
同種内の個体差があるとはいえ、上記のような感じであろうか。実際今回採取した2匹に関しては⓵~⓹の全てが当てはまっており、高確率でタニガワナマズであると言ってもよい。
さて、今回の採取に関して、ミミズのペットボトル仕掛け釣法を選んだ訳だが、ほとんどのケースで魚が針をのんでしまうので、活かしてリリースをお考えの方にはお勧めしない。
今回も釣ったタニガワナマズに関しては針をのんでしまい、ダメージが大きかったため持ち帰り食用として頂くことにした。まして、新種で個体数自体がはっきりしていない魚だったので、反省材料として今後活かしていきたい。
さて、持ち帰ったタニガワナマズをどのように頂こうかいろいろと考えた末、蒲焼として調理することを決め背開きにした。
胃袋には無数のミミズと小魚で一杯だった。
ハゼの一種だと思われる。25㎝程のタニガワナマズの胃袋にハゼ2匹と無数のミミズが入っていた。
背開きをするとピンクで美しい身であった。
今回は、関東風の蒲焼の作り方。先に白焼きにしたものを蒸し、その後タレを絡めて再度焼き上げるという工程を行った。そうすることによってより、身がふんわりと柔らかく仕上がるという。
何度かタレを絡めては焼きあげた。
余りの出来の良さに躊躇しながら箸を伸ばす。タマナマズを食べた時のような、口の中に広がる香ばしさとふわふわ感を期待しながら、タニガワナマズを口に含んだ。臭みは全くない。
しかし、大きくその期待を裏切る弾力。一言で言いあらわすなら筋肉であった。
過去に魚でありながらこの肉質を口に含んだことがある。『アリゲーターガーだ!』
わかり易く他の表現をすると、鳥のささ身である。
過去にアメリカで釣って食べたアリゲーターガー
マナマズと違い渓流を泳ぎまわるタニガワナマズ。身がしまり筋肉質の身体を手に入れたのか?
外観の違いが微妙なのに反して、食感が大きく違うのには驚きを隠せなかった。
娘にもウナギと偽って食べさせてみた。感想は以下の通り。
『うん!蒲焼のキモはタレだね!ママの作ったタレが最高に美味しい』
子供とは実に正直である…..