サケを釣って関東で鮭とばを作ってみた(栃木県・鬼怒川)
サケを釣って関東で鮭とばを作ってみた(栃木県・鬼怒川)
サケを釣ってみたい、そしてそれで鮭とばを作ってみたい。
思うのは簡単だけれど実はこの魚、ルールが多く簡単に釣っていいものではない。
今年釣ってきたのでまとめてみました。
まず、河川に遡上したシロザケを釣ることは法律上禁止されているので、釣るには各地で行われる『サケ資源有効利用調査』など特別採捕許可のおりるものに参加するか、河川ではなく海で狙うかになります。
北海道では秋の風物詩のようで、季節になると海に人が押し寄せるようですが、本州のそれも関東となるとあまり現実的ではなく河川で許可をとって狙うことになります。
今回参加したのは栃木県の『鬼怒川サケ資源有効利用調査』。
土曜日、日曜日各60名ほど募集、毎年キャンセルが出るそうで10名ずつ多めに募集をかけ各70人を募集。
2日間で120~140人がサケを狙って水辺に立つことになります。
応募は事前応募になり、先着順。
この時は応募日が平日だったのもあり、
仕事中にお腹が痛いと言い、トイレでひっそり応募した事は内緒。
こんな機会でもないと狙えないサケ釣りなので競争率は高く、当選する事も簡単ではないのですが、仮病使うくらいの思いは通じ、日曜日に参加できることになりました。
初めて狙うターゲットとなると釣れるかな?という不安混じりのワクワクがたまりません。
しかも釣れなければまた来年。もしくは別のエリアでの挑戦になるので程よいプレッシャーが気持ちいいです。
ルアー、フライ、延べ竿様々なスタイルの釣り人が集まりました。
そして当日。63名もの釣り人が集まり、各々そわそわしている。
勿論、自分もその人。
これだけの人数となると、ポイント選びが重要なんだろうな、なんてイメージしつつ、気がつけば開会式が終わり、それと同時に皆足早にポイントへ。
王道ポイントまでは少し距離があり、みんな走って移動していました。
みんなポイントまで全力!
僕はのんびり写真を撮りながら向かったのもあり良いポイントには入れず。当たり前ですがみんな本気。
勝負の朝一、なんとか入れたポイントは流れも早く、深場を探ろうものならのスプーンでは歯が立たない状況。
沈まないなら重くすればいいじゃん。
と、スプーンを2つ括って投げてみたりして、根がかって2つともロスト。何をやってるんだろう。
数時間ひたすらにキャストをするも周りに反して全く釣れない。
ここまま同じ場所でやっていてもダメだと見切りをつけ、ランガンしながら上流へと進んでいくことに。
これが功を奏し、ヘビーシンキングミノーで底がとれるくらいのポイントを通すと竿に重みが!
念願のサケ!やったー!
僕が釣れたのは昼過ぎ、周りで釣れていたのは殆どが朝だったので焦り始めた矢先でした。
体はブナ毛し、口はシャクレていてかっこいい!
念願のシロザケ!渋かっただけに嬉しい1匹。
その後ポツポツと釣れてくれて、終わってみれば友達と人で5匹。
朝釣れていた組以外はほとんど釣れていなかったそうで、そんな中釣れてくれて本当に良かったです。
検量後証明書を出してもらい晴れてこれで持って帰れます
友達とサケを分け、我が家には2匹くることに。
ここでもう1つやってみたかった鮭とばを作ることへ思考を切り替え、
釣り前に調べすぎると釣れないという私的ジンクスもあり、全く鮭とばの作り方を調べていなかったので、調べながら帰り道はホームセンターやスーパーに寄ってバタバタでした(笑)。
鮭とば作りは簡単に言うと、塩漬けしたあと数週間低温で水分を飛ばしていくだけらしい。説明だけ聞くとすごく簡単そう。
……しかしその後、主に北陸や東北の友人に話を聞いていくと、15℃を越えると腐敗菌等が活性化し、長時間放置すると腐ってしまうとのこと。
確かに、鮭とばを作っているという話は、
北海道や東北地方、新潟県などのいずれも寒い地域でしか聞いたことがない。
調べても関東で作ったというような記事は見当たらず、身近な友達には干し柿すらカビでしまうのだから、こんな大きな魚を干すなんて無理だろうと言われてしまう始末。
否定されれば燃える、そんな性格なのでなんとしても完成させてやろうと火がつきました。
というわけでやっていきましょう。塩を入れすぎた
塩漬けしている段階で、さすがに室内で常温放置はマズイと指摘され、当初衣装ケースでやっていたものの保冷剤と共にクーラーボックスへ。
この時、重石を入れてとにかくサケから水分を出していくことが重要。
半日して覗いてみると、想像以上に水分が出ていて、生物の殆どが水分という話は本当だったのだなあと実感。
この間に家中の温度を計りまくり、
温度が1桁台まで下がる夜間のみ最も冷える風呂場で干す事にしました。
乾燥が早まるよう扇風機を引っ張り出してきて強風を当ててみたり、これでいいのかなと試行錯誤を繰り返します。
夏は終わったのに扇風機はフル稼働
昼間は温度が上がるのでクーラーボックスへ、
夜間は温度が下がるので扇風機で水分を飛ばしつつ干す。
塩漬けしてこのくらいの温度をキープ大丈夫だろうかとドキドキ
こんなことを1週間繰り返し、塩を抜いても大丈夫なくらいカラッとしてきたら、水につけて一回塩抜きをします。
情報によると塩抜きをしないとしょっぱすぎてしまうので、この塩抜きでどれくらい塩分を出すのかというのも重要のよう。
この時も水温は低く保つ
だいたい半日くらい塩抜きすればいいようなので、朝クーラーに入れ、仕事から帰ってきたら温度も下がっているし干せばいいかな、という感じでやってみました。
いよいよ干します。それっぽい。
塩抜き醤油みりん漬けと塩抜きのみとちょっと変えてみました。
ここから約2週間ひたすらに干します。
日の当たらず温度の上がりにくい北側がベスト。
そしてこのタイミングで寒波がきてくれたので関東でも外で干せるようになりました。ナイス寒波。
乾ききるとカットするのが大変なので、ソフトな段階で切り込みを入れておくのが吉。
ここでアクシデント。
小さい方の鮭とば(仮)を少し齧ってみたらしょっぱい。ちょっとむせるほど。
これはマズイぞ、と言うことで急遽大きい方を再び塩抜き醤油漬けする事に。
再び塩抜きした後、醤油みりん液へ。3時間くらい漬けて再び干す
しょっぱくともお茶漬けなどに入れて食べればいいかなと思うのですが、さすがに量が多すぎるなということで調整。
雨の日は室内に取り込む。この際も扇風機はフル稼働
そして干し始めて2週間が経過し完成!!
雨が降りそうな日は仕事の昼休憩で取り込みに帰ったり、天気予報とにらめっこしながら臨機応変にやってみました。
適当なサイズにカットし
いざ食べてみると、うん。鮭とば!
自分で言うと嘘くさいけど、しっかり鮭とばの味。おいしい!
軽く茹でてほぐしてからご飯に乗せ、お茶漬けにしても美味しくいただけました。
無事完成?お茶漬けにしても美味しい
釣ってきた日から
塩漬けで1週間、
その後塩抜きをして干して2週間、
合計3週間。
確かに終わってみると塩漬けして干しただけなんだけど、
塩加減は?温度は?クーラーボックスに氷ごといれて湿度上がっちゃうかな?などなど、不安要素が多すぎてドキドキな数週間でした。
わからないことだらけで、帰ったら腐敗臭がしているのではないかと日々怖かったです(笑)。
いつだって初めての釣りは挑戦ですが、それ以上に今回は関東で鮭とばを作るという挑戦がとても楽しかったです。
情報がないというのはもうやっていくしかないけど、ちゃんと調べて臨機応変に対応すればなんとかなるものだなと思いました。
これからもワクワクを忘れずに色々な事に挑戦して行きたいです!
※河川に遡上したシロザケを釣ることは法律上禁止されています。もしかかってしまっても速やかにリリース!釣り人のマナー・レギュレーションを守りましょう!