沖縄で身近に出会う長〜い生きもの、ニョロ〜い生きもの
沖縄で身近に出会う長〜い生きもの、ニョロ〜い生きもの
こんにちは。沖縄在住イラストレーターの時川です。
ん、ん、ん?気のせい!?
この地に移住して丸6年になるけれど、なーんとなく長い、あるいはニョロい生き物につきまとわれているような気がしますよ。
近所で釣れる長〜い魚たち
磯遊びやシュノーケリング、釣りに出かける近所の海岸にて。
僕自身が身長178cm、体重が63kgとひょろ長い体型だから、呼びよせてしまうのかなぁ。
今回は僕のオキナワライフの中で出会ってきた、長ニョロ~い仲間たちを紹介していきますね。
まずは地元の海岸で大好きな釣りをして遊んでいると、釣れちゃう魚たちを。
近所の海で、釣りをしてみれば…。
ルアー(疑似餌)で釣りました。右側の手の映り込み、ごめんなさい!
いきなりアヤシイ顔と体型の魚でしょ。これは沖縄名でヒーフチャー(火を吹くヤツの意味のようです)と呼ばれるアオヤガラ(Fistularia commersonii)。
釣り人の間では「悪魔の杖」なんて言われちゃったりもします。目つきが悪魔っぽいからかなぁ?手を伸ばしての自撮りなんかじゃ顔しか入りません。
大きくなると1.5メートルにもなりますが、その三分の一は顔~~!
続いては近所の漁港で釣ったタチウオ。
本土で釣れるものにそっくりですが、近い種類でテンジクタチ(Trichiurus sp.)というものです。
ちょっと色が飛んでてわかりづらいいかもしれませんが、背ビレの上半部が黒ずみ、下半部が黄色っぽいのがふつうのタチウオと違う点。
沖に出て深いところには、オキナワオオタチ(という2m近くにもなる大型種も潜んでいて、釣り人の間では「メガタチ」なんて呼ばれています。
関連記事:南洋の巨大タチウオ「オキナワオオタチ」を釣る
タチウオも歯がギザギザでスゴかったですが、こちらの魚も負けていませんよ。
こちらは沖縄名ではシジャーと呼ばれる、ダツの仲間のオキザヨリ(Tylosurus crocodilus)です。
昼間の海でシュノーケリングをしていると水面付近をボヨーンと泳いでいるのをよく見かける魚ですが、ナイトダイビングではとても怖い存在。
ライトをつけていると飛び込んできて、その鋭い槍のような口がダイバーに刺さっての死亡事故もあるんです。ちょっとエフェクトが入った画像ですがこの魚もなかなか長いヤツでしょ。
ウツボもニョロい!
ところで、潮が引いたときの海岸の潮だまりでよく見かけるのがウツボです。こうした場所を、そ~~~っと覗き込んでみると…
いましたっ。
こちらはドクウツボ(Gymnothorax javanicus)の若い個体かな。
早朝の海に釣りで立ち込んでいると、寝ている?ところにしばしば遭遇するんです。
足でバシャッとおどかすと、ドバシャシャシャ~~~ッとあわてて逃げていきます(笑)。
こちらはシマシマ模様がとてもきれいでしょ?
やんばる(本島北部)の東海岸で見つけたのは、ゼブラウツボ(Gymnomuraena zebra)です。
釣り竿と比べると…う~~ん、これも長い♪
水中にカメラを突っ込んでの撮影です。抱きつかれてヒトデが迷惑そうにしておりました。
たまにしか見かけないので、見つけた時は「今日はツイてるんじゃない?」ってコーフンしちゃいますね!
腕長くんにも注目です
潮が引いた時の海岸には、カニやらヒトデやらを探しに、小学生の娘と磯遊びによく出かけます。
そこには長ニョロくて黒いニセクロナマコや真っ青なヒトデがゴロゴロいますが、娘が大好きなのは…ウデフリクモヒトデ(Ophiocoma scolopendrina)!!
仲のいいお友達の感覚のようです。
こどもっていいなー。
この方たちも潮だまりにウジャウジャいますよー。
潮が満ちてくると、いっせいにニョロニョロとこの長い腕をフリフリし始めるその様子が実にキュートなんですね。腕が長いと言えば、こちらの記事でも紹介したウデナガカクレダコ(地元名シガヤー)もいましたね。よかったらご一読下さい。
さて、陸上に目を移してみれば、このお方も腕(足)長です!
ババーーーーン!!
日本最大級のクモであるオオジョロウグモ(Nephila maculata)です。
このクモも移住1年目の時はかっこいいな~と興奮、大はしゃぎしていた僕ですが、7月くらいになると近所の木にいくらでも巣を張っているので、今では全然驚かなくなってしまいました。
まぁ、そんなものですよね。
初めて北海道に出かけた時は、大きなフキに感激して並んで記念撮影なんかしていた僕ですが、あれも地元ではどこにでも生えている雑草みたいなもの。
そうそう、イグアナなんかもメキシコ(カンクン周辺)ではスズメのようにどこでも見かける当たり前の存在。僕も旅の終わりには「ああ、またいる…」なんて無感動になっていましたっけ。あらら。
リュウキュウアブラゼミを捕らえたオオジョロウグモ。小さな鳥を捕食する事もあるそうですよ。
でも、そうはいっても、セミなんかを捕まえているところを見かけたりすると、やっぱりスゴいな、ヤルねと散歩の途中で立ち止まり見入ってしまいます。
さてさて、沖縄で身近に見かける長いの、ニョロいのをいく種類か紹介してきました。
ほかにも画像が手元にないので割愛しましたが、オキナワナナフシだったり、オオウナギだったり、まだまだ楽しい仲間たちが棲息している、ここ沖縄です。
パワーあふれる長ニョロさん、イラブー
最後に沖縄っぽい長ニョロさんをお見せして締めと致しましょう。沖縄名でイラブーと呼ばれるのがエラブウミヘビ(Laticauda semifasciata)やヒロオウミヘビ(Laticauda laticaudata)。画像の個体は尾部が幅広くなっているので、ヒロオウミヘビと思われます。
コブラ科で、毒の強さではハブよりもずっと怖いのですが(70~80倍もあるそうですよ)、おとなしい性格で変なちょっかいを出さなければ咬まれることもないのでそれほど恐れることもないでしょう。
僕も近所の港や海岸で水面付近をユラユラ泳いでいるのをときどき見かけますが、そっとながめるだけにしています。
それにしてもきれいな縞模様ですよね。成長するにつれて褐色味を帯び、この鮮やかさは失われてしまうのがなんとも残念!
こちらはエラブウミヘビ。黒い縞の背側の方が太いのが特徴です。
海岸の波うち際で、たまたま打ち上げられた死骸を拾った時のスナップ。
成長すると1.5mくらいになるそうなので、まだまだこどもですね。
このイラブーですが、もともと沖縄では琉球王朝時代に滋養強壮の薬膳として宮廷料理の素材に使われ食べられてきた歴史があります。
食べ方としては、燻製にしたものをスープにした「イラブー汁」が伝統的な料理。
「1年に2度食べると風邪をひかない」とも言われています。
イラブーは食材としては高価で特別なものですし、調理にはかなりの手間がかかるので地元でも日常的に食べることはありませんが、食べてみたいなと思えば旅行で沖縄を訪れる方も気軽に食することができますよ。
那覇であれば食事やお土産購入にも人気の牧志の公設市場2階の食堂で。
また、400年以上前からイラブー漁が行われ、神の島として有名な南部の久高島にも提供している食堂があります。
他にも中部に専門店があったりするので、訪ねてみるとよいでしょう。
牧志の公設市場にて。
公設市場には燻製にされ、黒くなった姿でお店に並んでいます。
まっすぐな棒状ものもあれば、
ぐるぐると巻かれたものも。こちらはときどき利用する、那覇近くのある食堂でいただいたイラブー汁。いつもあるわけではないのですが、たまたまランチメニューの1つに入っていたのでオーダーしてみました。
イラブー汁は具沢山。
お店によって、テビチ(豚足)だったりソーキ(骨つきあばら肉)だったりしますが豚肉に昆布、大根や人参等の野菜もたっぷり、ベースにはカツオの出汁も入ります。
イラブーからにじみ出るエキスにそれら全ての旨味が合わさり、調味はシンプルに塩だけですが、深~い深い味わいのスープにまとまります。
何時間もかけてよく煮込まれたイラブーは柔らかく、画像で見ると硬そうな骨も、例えるなら缶詰の鮭の背骨のよう。軽く歯で噛み砕けるくらいになっていました。一度燻製にすることで臭みがとれ、またよく煮込まれているので身も骨も柔らかくなっています。意外とあっさりしていて食べやすいんですよ。
ウロコのパターンがそのまま出ているので、視覚的にダメ! と叫んでしまう方もいるかもしれませんが、プルプルな皮も実に美味しい。
燻製なのですっと鼻孔をくすぐるスモーク臭も、なんとも粋な風味を感じさせてくれるんです。
食べ終えた後はなんだか体がポワーッと温まり、力が蓄えられたような気持ちになりました。
土用の丑の日にウナギではなく、沖縄まで遊びに来てイラブー汁というのもアリかもしれませんね。
え、でもやっぱり私には無理かも~~~ですって?
そんな方にはこうしたイラブーもありますよ。
最近発売されたイラブーの粉末入りちんすこう(沖縄版のクッキーですね)なんですが、これが予想以上のおいしさでした。久高島や、久高島に向かう船の待合所などで販売されています。
イラブーの旨味たっぷりで、食べた後に残る余韻がとてもしっかりとしていて力強いんです。
なんていうかな、“生き物の味がするちんすこう”だな~って感じましたよ。おっそるべし、イラブーパワー。
パッケージもかわいいです。2012年1月2日、久高島にて。真冬に来ても気持ちいいですよ♪
久高島は沖縄で初めて神アマミキヨが降り立ったとされる聖地。
イラブーのパワーをいただくとともに、心を洗われに出かけてはいかがでしょうう。
おっと、イラブーのことになったら、つい興奮してなんだか話まで長くなってしまいましたね。
沖縄で身近に見られる長~い生き物、ニョロい生き物の紹介、このへんで終わりとさせていただきます。