レインボー&ブラウン。ニュージーランド鱒釣り旅 (フライフィッシング編)
レインボー&ブラウン。ニュージーランド鱒釣り旅 (フライフィッシング編)
ワクワクが止まらない
いただきまーす!!
釣りの前に、まずはしっかりと腹ごしらえ。
宿泊したモーテルでの食事は、夕飯はオーナーさん特製だが、朝ご飯は自炊というスタイルだった。
たっぷりのオレンジジュースを飲みながら卵とハムを焼き、いろんな穀物が入ったパンといっしょに食べた。
ああ、ドキドキするなぁ。
もう、ワクワクが止まらない。
だってねぇ、これからついに始まるんだ、その時が。
あと20分後くらいにはガイドのマリーが迎えにきてくれて、おそらく1時間後くらいに、僕は、川に立っている。
午前8時過ぎにガイドのマリーが迎えに来て釣り場へ。
夏でも朝夕は10度くらいまで気温が下がるニュージーランド北島。
日が上り暖かくなってきてからの方が水生昆虫も羽化しはじめ、魚の動きも活発になる。
23年間しまい込んでいた思いを決行!
前回、既にルアーフィッシングでの釣りの事を書いたが、2019年2月の末、僕は素敵なトラウトに会いたくてニュージーランド(北島のムルパラエリア)を訪れた。
南半球なので日本とは季節が正反対。夏の終わりといった時期だ。
前回ルアーフィッシング編
http://www.monstersproshop.com/newzealand_trout/
ずっと前。
そう、ちゃんと数えてみたらもう23年前になるのだが、僕はこの国に「いつか行くぞ」との夢を思い描いた。
23年前と書いたが、それは僕がフライフィッシングを始めた年である。
その頃…、1990年代の後半は釣りブームのまっただ中だった。
専門雑誌にはアラスカがすごいぞ、カナダもいいね、オーストラリアも最高だ…とエキスパートたちの海外釣行記事が毎号のように掲載されていて、その中でも僕は特にニュージーの記事に惹かれた。
1990年代の釣り雑誌。ニュージーランドもよく紹介されていた。
小学生のときに「釣りキチ三平」の第3巻を読んでイワナに憧れ、ルアーを始めたのもトラウトだった僕に、“美しくでっかい”レインボーとブラウントラウトの姿がまぶしく映った。
人口よりも羊の数の方が多いなんて牧歌的でやさしげなイメージも、のんびりフィッシング好きな僕の性格に合っているような気がした。
ただ、当時はニュージーというとフライの記事ばかりだったので、フライを覚えないとこの地では遊べないのかなぁと思い、僕はその扉を叩くことにしたのだった。
実際に訪れてみると見かけたのは牛ばかり。
羊がいっぱいなのは北島ではなく南島なんだって。
今回の釣り旅は、僕にとってとても大きなイベントだったので、気持ちを盛り上げるべく、またガイドさんらへのプレゼント用に“Trout Fishing Trip” Tシャツをデザインし作っていった。
※入漁券を買ったロトルアの釣具店O’KEEFE’S(オキーフェス)にて。
YouTubeで関連動画をのぞいたり、古書でニュージーランド釣り本を探し予習をしておいた。
また、仕事の合間にせっせとフライを巻いて…。
釣行前のこうした時間がまた楽しいんだよね。
前からやっていたエサ釣りやルアーフィッシングに加え、フライフィッシングというこれまた面白い釣り方を覚え、僕はそれから渓流だの湖だのあちこちに出かけ、いろんな魚を釣った。
そして時は経ち、沖縄に移住してからは、近所の海岸での立ち込み五目釣りをメインに遊んでいる。
そんな中、ここ最近僕の心の中にむくむくと湧いてきた気持ちは、かってやりたいなぁと思ったもののまだ実現させていない大きな釣り計画を「いつか…」で終わらせちゃぁいけないぞ!というもの。
僕もいつの間にか50歳を超えてしまった。あとで後悔しないよう、どんどんやっていこ~~という感じなんだなぁ(家庭を壊さない程度にね。笑)
そこで、フライは始めたものの、トラウトなら国内でも遊べるからいずれ…と、ずっと「気持ちのお蔵入り」状態であったニュージー行きだったが、昨年「行くなら今だ!! 」と前から気になっていたツアーに申し込みを入れた。
23年の間、静か~にしまい込んでいた思い。
その爆発現場の様子を、今回は書いていこう。
前回の「ルアー編」でも紹介したが、海外フィッシングツアー会社「トラウトアンドキング」の青木さんと、現地人気ガイドのマリー。
今回は青木さんも同行の「スタッフ同行ツアー」に参加したが、この地の釣りに精通している2人のおかげで素晴らしい時間を過ごす事ができた。
トラウトアンドキング http://www.troutandking.com/
地元沖縄での最近の釣りより。車で5分の海でこんな魚がフライで釣れる。
2001年~2003年の夏はフライとルアーのパックロッドを持ってスーパーカブで行き当たりばったりの北海道鱒釣りツーリングを楽しんだ。
これもまたやってみたいので今後の計画リストに入れた。
カブでなく、現在の愛車のハスラーでというのもいいかもしれないな。
50cm級がウロウロの小渓流
前回の記事では3日目のルアーフィッシングの事を書いたが、釣り日程3日間のうち初日と2日目を僕はフライフィッシングにあてた。
初ニュージーでの初釣り場は川幅5mくらいの支流筋であった。
日本の渓流にも似た雰囲気、規模だが、違うのはここでは15~30cmといったサイズではなく、50cm~60cmクラスのトラウトがごくふつうに潜んでいらっしゃるのだ(思わず敬語!)。
その姿をそっと見つけてからサイトフィッシングで狙うというのが2日間の基本スタイルとなった。
ガイドのマリーが先に立ち、僕は青木さんとともにヤブを漕ぎ、急斜面を降り、川を目指した(あとで登場するがガイド見習い犬のロッキーも)。
マリーは数ある釣り場の中からゲストのスキルや体力に合わせ最良の場を選んでくれる。このへんをしっかりと事前に相談できるのもツアーのありがたいところだ。
川に降り、50mくらい歩いたすぐのところで僕は早くもニュージートラウトのパワフルな引きを味あわせてもらった。
サイズは43cmと、それほどの大物ではなかったが、この地でのファーストフィッシュということでうれしさがこみあげる。
「ええっ、こんなにもすぐに釣れちゃっていいんですか~~!!」
記念すべき初ニュージートラウト。
しかも、使用したロッドとリールは僕が23年前に初めて揃えたフライのセット。
もう、うれしくて、うれしくて、たまらない!!
ヒットフライはカゲロウを模したオリジナルフライ。
ゆったりとおおらかな食いを見せるニュージートラウトの場合、早アワセは禁物。そのタイミングは、実際に経験してみてね!
1匹目を釣ったところから少し離れたポイントで2匹目が出た。
日頃大物に縁がなく、かけてもバラしちゃうヘッポコな僕なので思い切り危なっかしいやり取りだった。
だが「ニュージーでの釣りがはじめてのフライフィッシング」なんて初心者ゲストのガイド経験も豊富なマリーのアドバイスを受けながら無事にキャッチだ。
「ロッドは立てて!急な突っ込みも曲がりで受け止めてくれるからね」とマリー。
ロッドを魚方向に寝かせたときに走られたら一発で切られてしまうと、ポンピング(ロッドを立てては、寝かせながらラインを巻き取ること)は禁物だとも。
2匹目はさらにデカかった!
ありゃぁ、持ってきたネットから飛び出ちゃうんですけど~~~。
ぐえ~~、2匹目で55cm。
「す、すごいねぇ~~、ニュージー!!」
見事な体とファイトで筋肉痛
このあともさらに僕はナイスなサイズを追加することができた。
そのポイントで縄張りを張る主のような魚を探しては狙い定め、1匹、1匹を慎重にしとめていくような釣りだったので、1カ所のポイントで数匹というようなことはなかったが、出れば50cm前後。最大は57cmであった。
体の大きさも見事であったが、ヒレの発達ぶりがハンパでなかった。
その大きなヒレで水をつかみ、いつまでも抵抗し続けるため、どの魚もなかなか寄ってこない。
ロッドを支える腕はパンパンになり、あとで僕に筋肉痛をプレゼントしてくれるほどだった。
印象に残っているのは、魚の姿を見つけてからではなく「あのへんにいそうだなぁ~」と予想しながら流したフライで釣った3匹目だ。
手前までフライが流れてきたところで「ピシャッ」とまるで小魚がじゃれたようなアタリだったので稚魚クラスのレインボーかと思った僕は「ちっちゃいですよ~」なんて言いながらアワセたものの、そのあとで勢いよく上流へと走り出してジャ~~~ンプ!
「うわ、デカいっ!!」と叫んだその魚は52cmだった。
青木さんが釣っているところ。
日本の渓流を思わせる小規模な流れだったが、シダ類が多く周りの植生に独特の雰囲気を感じた。
青木さんのヒットシーン。
かかったと思ったらラインが引き出される!
これぞワイルドレインボーパワー。
時には上流へ、と思ったら下流へと走る魚を追いかけて釣り人も走らねばならない。
きれいなレインボーでしたね~~~っ!
写真ものっけておきましょう。
僕のこの日の最大魚57cm。
1匹だけでもいいから50cmオーバーを!と控えめな目標で乗り込んだ初ニュージーだったが、初日だけで50cmオーバーが3匹釣れた。僕的には頭がおかしくなりそう。
デカいだけではない、とにかく魚体が美しかった。
鮮やかな体側のレッドバンドに、大きく健やかに成長しピンピンにとがったヒレ。
初日のラストワンは深めのポイントでニンフ(沈めて使うフライ)を使い釣った47cm。
マリーがカツオみたいだと称した、おそらくウエイトではこの日一番のぽっちゃりトラウトだった。
2日目は60cmアップも!
2日目は初日とは別の、石がゴロゴロとした支流筋に入った。
「この川の魚のサイズは昨日よりもひとまわり大きいんだ」とマリー。
その言葉通り、この日は午前中ノーヒットだったものの、午後に入ってからは56cm、57cm、60cm、61cm(ほかにバラシ×1と、早アワセでのせられず×1)とすばらしいサイズの4匹を釣らせてもらうことができた。
2日目の川。
水量が落ちていたせいか魚たちは移動していたようだ。前半は魚の姿をなかなか見つけられなかったが、上流に向かうにつれコンディションもよくなり、魚たちも姿を現し始めた。
初日に何匹もの大物を相手にし、その強い引きの受け止め方、走りのかわし方など、やり取りをしっかりと練習できたことでとれた4匹だったと思う。
ふだんの国内の釣りでは、たったの1日で何匹もの大物野生マスとの経験を積むなんて事はなかなかできないと思うが、それができてしまうニュージーランド…。
同じ言葉の繰り返しになってしまうが、「すごい」。
今回の釣行でマリーから教えてもらった事、実際のファイト体験で得たものはとても大きい。
過去を振り返ると北海道遠征などで大物トラウトが出てもいつもやり取りで失敗しバラしていた僕だが、これからは落ち着いて対処し、キャッチに結びつける事ができそうだ。
ポイント移動中の河原で。シカの骨が落ちていた。
トラウトと同じくシカも19世紀に移植されたもので、ニュージーランドは釣りだけでなく、ハンティングのパラダイスとしても知られている。
それまではこの地で野生のほ乳類はというと、ネズミと2種のコウモリしかいなかったという。
1匹目56cm。もう、きれいすぎて言葉が出ない!
2匹目は鮭みたい!なジャスト60cm。
フライの先輩で、マリーとは何度も釣りをしたことのあるOさんからいただいた手巻きフライで釣った♪
この日の2匹目は、今回の釣り旅で特に印象に残っている。
まるでスローモーションの映像を見ているかのような、
ものすごくスローなバイトであったのだ。
彼はそれがニセモノのカゲロウであると、何の疑いの気持ちも持たなかったのだろうか?
ゆっくりと浮かび上がり、
鼻っ面を水からしっかりと突き出して口を開き、
水面に浮かべたドライフライを
彼は「気だるそうに」咥えた。
ここであわててはいけない。
彼が顔を水の中に沈めたところでひと呼吸置き、
それからクイッと竿を立て、アワせた…。
ズンッ!!と右腕に魚の重み。
初めの10秒くらいは寝ぼけていたかのような鈍い動きをしていたが、途端に激しく抵抗を始めた。
そこからは数分に渡るファイトタイム。
ほんとうにそれは力強い、ワイルドレインボーの引きであった。
3匹目。57cm。
紹介が遅れたが、ガイド見習い犬のロッキー(メスだけど)もいっしょに記念撮影だ。
※僕が履いているのはラバーソウルのウェーディングシューズ。この地では外来種の藻の繁殖を防ぐため、フェルトシューズの持ち込みを禁止しているので注意だ。空港ではネットなどもそれらの付着がないかしっかりとチェックされる。
また、この日は暖かであったので軽快に動けるゲーターを履いてのウエットウェーディングスタイルで臨んだが、日によっては寒いので通常のウェーダーを履こう。
参考までに紹介しておくと、ゲーター、シューズともにパズデザインのウェットゲーター、ラジアルウェーディングシューズNPGという製品。シューズはとても軽く、日本製はいいねとマリーにも褒められた♪
フライでのラストワンは61cm。
今回のニュージー釣行で最大魚となった。
深みのポイントでニンフ(沈めて使うフライ)を使い釣ったのだけど、インジケーター(ウキ)のアタリがよくわからなくて、ロッドを立てたらかかってたというのが僕らしいでしょ(笑)
正直なことを言えば、いっときは「レインボーもブラウントラウトも日本にいるし…」とニュージーから心が離れていた時期もあった。
でも、やっぱり行ってよかったなぁ!!!
他の国のトラウトの経験もあってこそ、母国のトラウトと比べる事もできるし、それぞれの素晴らしさ、魅力もしっかり語る事ができる。
それにしてもだ。
今回はコンディションにも恵まれたと思うけれど、ここまでいい釣りができるとは思わなかった。150%くらい、いや、それ以上の満足度で楽しませてもらったフライとルアーでの3日間とその余韻に、半年くらいは釣りしなくても大丈夫だなんて感じちゃったくらい(実際は沖縄に戻ってすぐに近所のビーチで釣りしてたけど!)。
大げさに聞こえるかもしれないけれど、一生もの級のメモリアル釣り旅となった。
Thank you ニュージーランド!
仕事頑張って、また来るぞ~~~!!
お知らせ
今回の「ニュージーランド鱒釣り旅」をテーマに、12月に都内でイラストの個展を行います。お時間ございましたら是非ご来場下さい。
◉時川真一個展~Trout Fishing Trip to New Zealand
会場:OCO Gallery 渋谷区富ヶ谷1-8-2
http://ocogallery.jp/home.html
会期:12月5日(木曜)~9日(月曜)
時間:12時~19時。初日は16時~、最終日は17時まで。
入場無料
イラストのほか、実際に使用した道具の展示、作品集やTシャツなどオリジナルグッズの販売もあります。
作家は全日在廊致します。