「夢の大物」 ナイルパーチ釣行(エジプト・ナセル湖)
「夢の大物」 ナイルパーチ釣行(エジプト・ナセル湖)
釣りをたしなむ人であれば、「大物」という言葉に心躍らせる方も少なくないと思う。
…実は私もその中の一人。
SNSやメディアで取り上げられる大魚に会うためには、やは
旅に出なければ、その夢は夢のまま終わってしまうのだから。
ここで綴るのは世界最重量級の淡水魚、ナイルパーチ(Lates niloticus)に出会うための旅。
私にとって初めてとなったアフリカ旅の全行程である。
旅は経由地も楽しむ
自身で釣り場を探し聞き込みによってエリアを絞っていく開拓釣行
12月31日、成田発エミレーツエアラインにてアラブ首長国連邦のドバイへ
トランジット6時間の間に、
また、私は愛煙家で禁煙の航空機
特にアラブはホテルが高い。
そしてドバイの街並みを歩くのだが、
入国から3時間でHappy New Year!ドバイの方々はカウントダウンした後は、
短時間の観光を終え、
入国審査は長蛇の列…。
でも、いざ順番がやってくると挨拶だけであっさりパス。
いままで訪れた国はアメリカ以外どこもそうなのだが、
いざエジプト入国
ナイルパーチが釣れたら一杯やろ
機内持ち込みも問題ないとのことだったが、なぜか国内線ゲートにて引っかかる…。
そもそもウィスキーを預け荷物の中にいれておけば済んだ話なのだがそうはい
今回は政権交代に伴う治安の不安定さとスムーズなフィッシングライセンス取得のため、フィッシングガイド“La
一時間待ってもそれらしい人が来ない。
この際に会計してみて気づいたのだが、
エジプトたばこの銘柄は殆どがこのクレオパトラ。
エジプトのカフェでは殆どの店で水タバコを味わうことができる。
現地到着からいきなりガイドがいないというトラブルに見舞われた
ナイルパーチの聖地・ナセル湖へ
今回の旅の舞台となるナセル湖はナイル川を堰き止めてできた湖で
エジプト・
この湖を10日で釣りきろうというのも難しい話であるが、
マザーボートを拠点としながら釣り専用の小型モーターボートで釣
そして船着場に到着。「さっきは迎えが行かずにすまなかった。」
そしてお詫びに、と手巻きタバコを頂いた!これは美味しかった!
「No problem! Nevermind! Let’s the fun trip!」 今から楽しい旅が始まるのである。
マッスルコップ ハイサム
筋トレ・食事・睡眠に徹する毎日。
彼はあまり英語が話せないのが難点だが、
カンフーコック ムハンマド
調理全般担当。私への質問は「ジャッキーチェンはもう引退してしまったのか?」「
ムスリムガイド ムラード
ナセル湖でガイド業を営んで20年のベテランガイド。
彼は定刻になるとお祈りを始めるため、釣りはストップする。
ドクトル アダチ
私です。
いざ出船!
最初の2日間はガイドさんの指示に従う。
ラインはビミニツイストでダブルラインにしてショックリーダーと
ところで、ナセル湖で釣れる魚はナイルパーチだけではない。
タイガーフィッシュと呼ばれる、鋭い牙を持つカラシンの一種もルアーへ果敢にアタックしてくる。
ナセル湖産タイガーフィッシュ。20~
ガイド曰く、このタイガーフィッシュがナイルパーチの現在
さっそくカンフーコックが中型の個体を釣り上げた。
塩漬けのタイガーフィッシュを沢山持って帰るとカンフーコックの
「じゃあクーラー満タンに釣ろう!」
ものの1時間程度であっさりクーラーは満タンとなる。
めぼしいポイントに魚探をかけながらのトローリングで魚を探す。
…やっぱりいろいろと言いたいことは出てくる。多分引くスピードが速すぎる…。そしてルアーが水深にあっていない…。糸も信用できる自分の結び方で結びたい。明日からは意見を言わせてもらおう!
それにしても日が沈むと一気に寒くなる。昼は30℃に達するが、夜は10℃を下回る。
昼は短パンTシャツ。
現地の漁師さんと情報交換をする。
これもナイルパーチのベイトフィッシュになるのか?
嬉しいゲストが“釣れちゃった”!
そして二日目、想定外のラッキーフィッシュが釣れてしまう!
リールの糸が弛んできたので、しっかり糸を巻き直そうと一度ド遠投。底から急いで糸を回収しているといきなり明確
そしてファイト。簡単に寄ってくる…。
ラッキー!しかも重さは5~6kg。この湖で釣れる最大サイズとのこと!徳は積んでおくものだなぁとしみじみ思った。
この魚は上顎も
実際に口が開く様はエイリアンのようだが、
リリースしようとしたら、
さすが夢の大物。簡単な相手じゃない…!
夢、かなう。
釣行5日目。
船を停めて大遠投を繰り返す。
「
衝撃とともにルアーの動きが止まった。
いったん相手にルアーを持っていかせて、
……魚はかかっているはずなのだが、ビックリするほど引かない。
水温17℃
スピードは無い魚だが、最高に釣り人を興奮させてくれる魚だ。
「ヨッシャーッ!!!」
私達だけしかいない真冬のナセル湖に歓喜の声がこだまする。
なんという爽快感だろう。
同サイズのアカメと比較する
ナセル湖ではこの8倍の大物も釣れているらしい。ちなみにムラードの自己記録は110kgだそうだ。私の魚なんてまだお子ちゃまですね!写真撮影中にナイルパーチちゃんのお漏らしが海パンに付着。
そしてカンフーコックより衝撃の発言…。
「
…
という私の提案を呑んでもらい、必死で蘇生を開始する。
だが水温は17℃。なかなか寒いのである。30分位頑張って体が冷え切ったので、
私の体が温まり、
これならリリース出来そうだ!
まあ、魚にとっては二度と会いたくない相手だろうけどね。アフリカンサンセット。美しい。
サンドストーム発生!
夕焼けが美しい。だが見惚れる私に1つの疑問が浮かぶ。
…あれ?雲があるぞ!魚を釣ったときには全く雲ひとつ無い快晴だったのに、いつのまに。
というかアフリカに来てから今日まで快晴しかなかったのに。
時計で気圧を見てみると多少下がっている。あの魚も気圧の変化で口を使ってくれたのかな?なんて思い返してみる。
この時の私は翌日からサンドストームが吹き荒れることを全く予想さえしなかった。今日はカンパイだ!しみる!冷え切った体にしみわたる。
翌日起きてみるとなぜだか夜が明けない。薄暗いままだ。
サンドストームだ…!砂漠の砂が風に舞ってまるで曇りのように太陽を遮る。
こんな時は情報収集をするに限る。残された日程はあと4日しかない。
漁師達が口をそろえて言うのはこの小船位あったぞ!
翌日。サイズアップを求めて彷徨う。
やっと魚を見つけたのは日没直後。
現地では出来るだけ現地の状況に即した釣りがしたい!だからルアーはできるかぎり現地でカスタムする。私はルアーを持っていく量を減らしてでも2液性エポキシ・針金・
試行錯誤を繰り返し、
最善を尽くしたがもはやこれまで。無念でならない。
…きっとまたいつかこの地へ。
魚探で見つけたモンスターの影が、今でも私の目に焼き付いているのだから。
ナセル湖で出会ったメモリアルフィッシュの姿は一年が経った今も時折フラッシュバックする。
いつまでもあの感動を覚えておきたいと、僕は彼の雄姿をデジタル魚拓に残すことにした。デジタル魚拓はこのジャンルのパイオニアである高知の「パープルヘイズデザイン」さんに製作を依頼した。
写真をもとに製作された実寸大のナイルパーチはその記憶をより鮮明に思い出させてくれる。
魚の匂い。あの力強い生命力。乾いた空気…。
またエジプトにチャレンジしよう!
胸は高鳴るばかりだ。