タウナギを釣って唐辛子と炒めたらヤバ味の旨さだった(奈良県)
タウナギを釣って唐辛子と炒めたらヤバ味の旨さだった(奈良県)
雨が降り続く奈良県の住宅街。
今年もライトと釣り竿を持った中年男の3人組が夕暮れと共に現れた。
その男たちは、慣れた手つきで住宅街を流れる水路から次々とタウナギを抜き上げると歓喜の雄叫びを上げた。
部活帰りの女学生たちが、その様子を眺めていたが、
暫くすると恐れおののき足早に立ち去った。
男達は囁いた。
『タウナギ釣りへの取り組みは、楽しく、カッコよく、そしてセクシーであるべきだ』
何の変哲もない住宅街とその向こうに広がる田畑。そこにタウナギはひっそりと身を潜める。
タウナギとは
中国、マレー半島、台湾、朝鮮半島などアジア圏に広範囲に生息している。元来、食用とされており、日本にも明治時代に移入された。
日本でも京都や奈良を中心に生息地を密かに広げており、限定されてはいるが東京のとある公園の池でも釣れるとか。最大サイズは80cm程にまでなり、基本は夜行性。昼間は泥の中や石積の間に姿を潜め、日が暮れるとその姿を現し、小魚、小型の甲殻類、水中昆虫などを捕食する。
又、若く小型な個体は全てメスであるが成長の過程で40cmを超えてくると性転換を行い、40cmを超える頃、急に厳ついおっさん(オス)に姿を変えるという。
毎年夏になると出張のついでに奈良県に寄っては地元の友人2名に声を掛け、住宅街と田園を流れる小さな水路に集合する。
今年は生憎の雨であったが、毎年恒例のタウナギ祭りがひっそりと3名で開催された。周辺には河川は無く、住宅街を釣り竿とライトを持ち歩く中年男性三名は異色の存在である。
時折すれ違う帰宅の途につくサラリーマンや学生たちからの驚きと冷たい視線を浴びたが、僕らは気にせず水路を丹念に探しだした。
住宅街を釣り竿とライトを手にした男達が闊歩する。異様な光景である。
住宅街と田圃の間に水路が現れる。
アメリカザリガニやクサガメは姿をみせるが、水面を叩く雨粒の影響か?中々本命が姿をみせてくれなかった。
アメリカザリガニやジャンボタニシなど無数に生息。外来種天国の様相をみせる水路。
先ずはクサガメが恥ずかしそうに頭を覗かせた。
更に1時間程何事もなく水路を眺め歩き、いよいよ今年のタウナギ祭りは姿を観ずに終了かと諦めムードが漂い出した頃、一匹のタウナギが泥の中から恥ずかしそうに小さな頭をだし、こちらを眺めているのを発見した。
日が完全に落ち暗闇が訪れたころ一匹目のタウナギが恥ずかしそうに姿を現した。
すかさず用意していた小さなジグヘッドにブドウ虫つけタウナギの口元に運んだ。
すると『ジュポッ!』間髪入れずタウナギはブドウ虫を吸い込んだ。
針掛りしたが必死に泥の中にジグヘッドを引き込もうとするタウナギを制し、ハードタックルで一気に泥の中から抜き上げた。タウナギはその首とその根元につながる筋肉質で美しい金色の身体をうねらせたかと思うと宙を舞った。
僕等は雨の中、歓喜の声をあげた。
其の後は時合到来か?今まで中々見つけられなかったタウナギ達が次々と姿をみせ始めた。
時合と共に姿を現しだしたタウナギたち。もはや恥じらいもなく大胆に次々と現れるようになった。
姿さえ発見できればかなりの高確率で釣りあげられる。僕等は次々と泥の中からタウナギを抜き上げ、そして雄叫びをあげた。
暫くすると更に雨足が強くなり水面が激しく打たれ始めた。全身ずぶ濡れとなり、渋々僕等は水路を後にした。
今回釣り上げたタウナギたちを観察水槽に入れて観察してみた。その特異な姿をご覧いただきたい。
さて、車で東京に持ち帰ったタウナギ。しっかり泥を吐かせて翌日調理にかかる。
捌いてみると、その身はとても赤身で魚のものとは思えない程。獣肉に近い。
今回は唐辛子と山椒のしっかり入った四川料理の辣子鶏に似せた一品。そして骨せんべいを用意した。翌朝の御手洗いでとびきりHOTなお通じを迎えたことは言うまでもない。
やはりもともとは大陸から来た魚。中華料理との相性は抜群。とても弾力がある歯ごたえと癖のない味。来年のタウナギ祭りが楽しみになるほどの旨さだった。
*淡水に生息するタウナギ。寄生虫などのリスクがあります。泥を吐かせ、しっかり火を通して召し上がってください。
良くも悪くも普通のウナギのそれに近い骨せんべい。ビールが益々進む。
*淡水に生息するタウナギ。寄生虫などのリスクがあります。泥を吐かせ、しっかり火を通して召し上がってください。
塾長の3時間クッキング
適当な辣子田鰻レシピ
材料
タウナギ:6匹
長ネギ :1本
唐辛子 :60g
チューブ生姜:適当
醤油:適当
塩:少々
片栗粉:適当
山椒:5g
サラダ油:適当
捌いたタウナギを一口サイズに。長ネギも適当な大きさに。唐辛子は半分に切って種を抜いておく。片栗粉をまぶしたタウナギを表面がカリっとするまで炒め別皿に移す。
其の油でつぶしたにんにく&長ネギ&山椒を炒め、唐辛子の種を辛さの限界まで投入。其の後タウナギと唐辛子をぶち込んでプロっぽく中華鍋を振りましょう。(振らなくても可)
タウナギにしっかり火が通ったのを確認して…..はい!完成。