新年祝いにうってつけ! 波止の大魚コブダイ(カンダイ)の魅力
新年祝いにうってつけ! 波止の大魚コブダイ(カンダイ)の魅力
堤防や磯で釣りをしていると、とんでもない大物が釣り竿を海中へ引きずり込んでしまうことが稀にある。こういう事件の犯人は大抵の場合エイかサメか、あるいは「コブダイ」という魚である。
コブダイとはその名の通り額にリーゼントヘアのようなこぶを持つ奇妙な魚。歯並びもスカスカで不細工なのだが、どこか愛嬌のある顔をしており、水族館では意外と人気者だったりする。
おっかないような…。でもちょっとかわいいような…?
冬に美味しくなることから「カンダイ(寒鯛)」とも
この魚は名前にこそ鯛とつくが分類上はベラ科に属し、季節によっては身にベラ特有の磯臭さを持つこともある。
だが、寒季には臭みが抜けて大きく味が上がるため、「カンダイ(寒鯛)」の別名で呼ばれることも。
味は旬ならばマダイにも負けぬほど上品。身は繊維質で締まっているため、薄く造った刺身やしゃぶしゃぶ、煮つけなどにすると美味い。
魚体も立派なので、「めでたい」にかけて正月祝いをはじめ冬の宴席にもぴったりだろう。コブダイの刺身
コブダイのムニエル
また、ウニや貝の硬い殻を噛み砕いて食べるため、頬肉は強く大きく発達して貝柱のような歯ごたえの珍味となる。この魚を食す機会があれば、ぜひ試したい部位である。
ただし、特徴的な額のコブの中身は脂肪の塊であり、それ自体を食べることはできない。どうしても料理に活かしたいのであれば、ネギトロのように刺身に叩き合わせると甘みが出て良い。
性転換する不思議な魚
この特徴的なコブは雄だけに見られる特徴である。その点に関してもこの魚はおもしろい生態を持っている。
すべてのコブダイは生まれた時点では雌なのだが、ある程度成長すると雄へ性転換してしまうのだ。
つまり、雌である若いうちはコブもアゴも出ていないのに成長するにしたがっておでこが出っ張っていくのである。
若い内はおでこもなめらか。
それがある程度育ってくると少しずつ出っ張り始め…
コブをたくわえた厳つい顔つきへと変貌。性転換とともに男らしくなったということか。
さらに成長した大型個体は顎まで膨らむ。
この現象は人間になぞらえるなら、可憐な美少女が成長するにつれ、いつのまに強面の厳ついおっさんへと変身するようなものである。
ある意味でなかなか壮絶な生涯を送る魚だと言えそうだ。