さかな芸人ハットリの〝魚以外食べない”チャレンジ
さかな芸人ハットリの〝魚以外食べない”チャレンジ
芸歴7年目の若手ピン芸人、ハットリです!“さかな芸人”として普段はマグロ解体ショーの前座や海鮮系のグルメイベントなどを中心に、魚をテーマにしたネタを披露しています。
そんな僕ですがネタとは別で『魚以外食べないチャレンジ!』という勝手に自分自身の食生活を縛り、ひたすら釣りをする自主的な企画を不定期に行ってきました。
今回この場をお借りしてそのチャレンジのことを皆さんに知っていただければと思います!
『一ヶ月間自分で釣って調理した魚以外食べないチャレンジ』
芸歴4年目の2013年5月。完全にネタに行き詰まり何か生活から変えねばと、「バイトをやめて一ヶ月間路上ライブでもらった投げ銭だけで生活します」と宣言して以降、僕は一ヶ月くくりで色んなチャレンジをするようになりました。
湘南で一ヶ月間ひたすら海水浴客と記念撮影したり、一ヶ月間延々と北に向かって歩いたり。
歩いて北上する旅の最終地点は大間でした。
テレビのオーディションに向けて舞台でネタを切磋琢磨するという若手芸人の本来あるべき姿からはかなりはずれてしまった僕ですが、そんな中さかな芸人としての転機になったのは2014年1月に行った『一ヶ月間自分で釣って調理した魚以外食べないチャレンジ』というもの。
もともとスキューバダイビングを学生時代にやっていて魚を題材にした替え歌をしており、チャレンジにも魚を絡めようと思ったのです。
チャレンジのルールは、
・自分で釣った魚以外はお米もパンも食べない。
・人からもらった魚はなし。
・飲み物と、魚料理に使う調味料としてなら、味噌や小麦粉などはあり。
こんな感じです。
魚界で圧倒的、神様的な存在のさかなクンさんの地元である館山に見切り発車で大晦日の夜に降り立った僕は「寒い」「釣れない」「寝るとこない」の三拍子で洗礼を浴びました。
初日に釣れたのはこのオオスジイシモチ一匹のみ。その場でコンロに鍋を乗せ、はるかに多い量の味噌で煮込んで一口で飲み込んでしまいました。魚に申し訳ないですが味は覚えてないです。
やがて夜は明け、めでたさをまったく感じなかった初日の出。
翌日は一匹も魚が釣れないうちに夕方を迎え、時報が鳴り始めました。
ここ館山は「X JAPAN」の地元なので時報が「Forever Love」のオルゴールバージョンでした。
沈み行く夕日、冷たい冬の風、切なく美しいメロディ。そして空腹。「ああ、俺ここで死ぬのかな?」と割と本気で思ったのを覚えています。
その後の夜、館山での滞在費を稼ぐために投げ銭を貰おうと、僕は地元の居酒屋さんに飛び込みで入り、ネタを披露しました。
そこで知り合った方々がなんと見ず知らずの僕を泊めてくださるというではないですか!
館山の焼き鳥屋さんで。
そこからありがたいことに館山のいろいろな方のおうちをお邪魔してまわり、釣りも教えてもらい、何とか日々腹を満たせるようになりました。釣った魚を一部紹介しますと。
防波堤釣りの定番カサゴやら。
早春の風物詩サヨリやら。
ちゃっかり乗せてもらった船でアカアマダイまで!
地元の人も食べないアメフラシ。
紫の汁はショッキングですが、ツブガイを柔らかくしたような味でした。個人的な感想ですけど。
ちなみにアメフラシは加熱する前はまな板の上で、でろーんとしてますが
加熱すると縮こまってシャキンとします。
釣った魚以外と言いながら軟体動物のアメフラシ食べてるじゃないかというツッコミは受け付けておりません。
軟体動物でいえばヒザラガイなんかも食べました。
殻をむくのが非常に厄介でしたね。
硬くてあまり好みの食感ではなかったかな。。
一ヶ月間で一番の大物はウツボ。
これもあって、僕の中で房総のウツボへの愛着は強いです。
そして一ヶ月が経とうとしてチャレンジも終わりかけたある日、一度東京に戻るために乗っていた電車の中で僕の携帯に、館山の繁華街にて流しでネタを見てくれたスナックのママから連絡がありました。
何でもさかなクンさんが二時間後に館山で講演会をするとのこと!
大慌てで反対方面の電車に乗り換え、館山にとんぼ返りし、会場で一番前の席を陣取った僕は初めて目の前でさかなクンさんを拝見いたしました。
テレビと変わらぬキャラクターで会場を盛り上げるさかなクンさん。感激でした。
そして公演後、僕は楽屋へと無謀にも突撃したのです。あからさまに怪しい坊主頭の男が楽屋に来たと、スタッフさんの静止が当たり前のように入ります。
しかしそこにいらした、さかなクンさんの親友である漁師の方が「あれ?最近○○(講演を教えてくださったママのスナック)にきた芸人ってお前か?おお、入れよ!」と招いてくださったのです!!
至近距離でお会いするさかなクンさん。何でも釣りをして魚を食べながら館山に滞在している芸人の存在は知ってくださっていたとのこと。
さかなクンさん「黄○伝説ですか?」
ハットリ「あ、いえ自主的にやってます。」
その言葉に笑ってくださったさかなクンさん。そのまま流れでネタまで見てくださいました。本当に、本当に紳士的で優しい方でした。
ただまあ、弟子入りはやんわりと断られましたが。
こうして夢の出会いのあったチャレンジを終えて、僕は魚道を進む決意をいたしました。
ありがとう房総の海、ありがとう館山の皆さん。
『築地市場にてネタを行い、一ヶ月おひねりとしてもらった魚しか食べないチャレンジ』
そしてそこからしばらく時間が空きまして、関東圏の某水族館でバイトしたりなんだりした一年後。
2015年1月の企画は『築地市場にてネタを行い、一ヶ月おひねりとしてもらった魚しか食べないチャレンジ』というものでした。
さかな芸人を名乗るからには、やはり築地ははずせません!
意気揚々とネタを引っさげていきますが…
屈強な築地の方々にネタをみてもらう勇気が僕にはありませんでした。
結果、観光に来ている人にネタを披露し、魚屋さんまで誘導して魚を買ってもらうという最初に決めた企画の趣旨と若干違う方法で乗り切ることとなります。
そして本当に多彩な魚を買い与えていただくことに!
長い長いアカヤガラやら。
キンキことキチジと高級魚揃い。
トレードマークのメバルとツーショットも。
ゴッコこと、ホテイウオも!
ホテイウオはヌメリを取るときに熱湯をかけるのですが、そうすると急にシャキンとします。アメフラシを思い出しますね。
小振りですがホシザメもいただきました。
そして一ヶ月を迎え、ラストは…
基本のマアジ!!
感想としましては、最初の釣り企画よりもかなり気が楽でした。
釣りは坊主の日がありましたが、築地に魚がない日はなかったので。
『20種類達成するまで自分で釣って調理した淡水魚以外食べないチャレンジ』
僕が最初に覚えた釣りは、父に連れられて行った渓流釣りでした。学生時代はダイビングにのめり込んだこともあり、芸人となってからは海キャラを推していたのですが、ここで原点回帰として淡水釣り企画です。2015年5月スタート!
まずは関東近郊の公園の池にて。
記念すべき一匹目はヌマチチブ。
続いて小さなブルーギル。
小魚だけで食べた感を出すには揚げ物が一番。この辺のごまかし方だけはやたらうまくなってます。
3種類目は荒川の夜釣りにて。
ウナギです。泥抜きしようにも食料が無いのでその日のうちに食べましたが荒川のかほりはやはりバッチリですね。
さらに都内で、タモロコに続いて5種類目は。
まさかの金魚です。
名前にキンってあるし、赤いし。キンメやキンキとおんなじノリで煮付けましたが。
味、食感、全てが違いました。
そして「私も魚大好きです!応援しています。」といつもブログに投稿してくださっていた方からのコメントが、金魚を食べた時の写真を載せた日を境にピタリと止まりました。
今、人として大切な何かを失っているのでは…?
湧き上がるそんな気持ちに気付かないふりをして、山梨へと遠征。アブラハヤ、ヤマメ、ウグイ、タカハヤ、イワナと渓流の魚種を着々と追加しました。
これぞ釣って食べる醍醐味!
イワナの味噌ホイル焼きはバーベキューなどでオススメです。
また個人的に印象深かったのはある野池でほぼ同じサイズのニジマスとオオクチバスが釣れたので食べ比べとして片身ずつムニエルと煮付けにしたのですが。
個人的にはどちらの料理もバスの方が美味しかったです!バスが釣ってよし、食べてよしの魚としてもっと認知されて欲しいと切に思います。
都内に戻ってからも魚種は増え、オオタナゴ、ギンブナ、ワタカ、アメリカナマズを追加。
コイを釣ろうとパンを撒き、全部鴨に食われたりもしました。
そんなこともありつつ無事にコイも釣り、カワムツ、モツゴで19種類。
最後に企画を締めに向かったのは。
山梨県富士五湖のひとつ西湖でした!
さかなクンさんが絶滅したはずのクニマスを発見した奇跡の湖にて、そのきっかけとなったヒメマスを20種類目にしたいという思いを胸にボートでポイントへ行き…
20種類達成です!本当にきれいな魚でした。
最後のヒメマスは塩焼きとムニエルに。
20種類達成するためにかかった日数は26日。日数こそこれまでの一ヶ月企画より少ないですが、淡水縛りはなかなかハードでした。
こうして、三通りのコンセプトで魚だけを食べ続けた僕ですが、これら企画を終えたときにはもう後に引けなくなっていました。
僕の『魚だけを食べ続けるチャレンジ』はまだまだ続いていきます。
どんどんハードルを上げながら…。
それらについては、またの機会に…。