正真正銘のモンスター。ゴライアスグルーパーを釣りに(フロリダ)
正真正銘のモンスター。ゴライアスグルーパーを釣りに(フロリダ)
2017年1月某日。
「今年のGWは何処へ行こうか?」
本格的な冬の到来を迎え、街ではカップル達が煌びやかなイルミネーションを見ながらイチャイチャしている。その姿を後目に、俺は1人そんなことを考えていた。
せっかくなら暖かい所へバカンスに行きたい・・・。
あ、フロリダでゴライアスグルーパーとか良いかも。
思い立ったら吉日と、フェイスブックで知り合った現地ガイドのジェシーに「フロリダへ行きたい」とメッセージを送った。
すると待つこと数分、さっそく返事が返ってきた。レスポンスの速さに好感が持てる。
メッセージに目を通すと、どうやらGW中に4日間の空きがあるらしく、そこを埋めてくれると嬉しいという内容だった。
これは運命!!そう感じた僕は後先考える間もなく、すぐさまデポジットを入金して予約を確定させた。
フロリダ行きが決まってしまった。勢いが勝ってしまった感は否めないものの、後悔はしていない。
もう行くしかない。でも1人で行くのは寂しいな。
そうだ、釣り友達であるタイシも連れて行こう。
毎年ゴールデンウィークを共に過ごす釣り仲間、タイシ。GWの恋人(相棒)として貴重な存在だったのだが、なんと最近彼女ができたらしい。そっちほったらかしてていいのか。
いざフロリダへ
目的地はフロリダ州の小さな港町 イングルウッド。ここが今回の舞台となる。
この街から一番近い空港がサラソタにあるが、フライトのアクセスが非常に悪く、時間が掛かってしまうのでお勧めしない。
最短で行くならタンパかフォートマイヤーズの空港から向かった方が良い。タクシーだとそこそこ料金が掛かる距離、自由に動き回りたいならレンタカーが安くて良いだろう。
今回は運転するとか面倒臭くてやってられなかったので、ウーバーを巧みに利用した。結果的には移動費を半額以下に抑える事に成功した。
あらかじめ予約しておいた港近くのモーテル。
モーテルに着き、部屋の前でビール片手に寛いでいると、草むらでガサガサと言う音が聞こえた。
最初はネコかネズミだと思って気に止めずボーッとしていたが、あまりにガサガサうるさいもんで音のする方を見ると、そこにはアルマジロ!夢中で土をほじくっていた。
初めてみるアルマジロに興奮を隠せない。これは捕獲するしかない!!!
気付かれない様にアルマジロに接近し、尻尾を強く握りしめた。ビックリしたアルマジロは必死に身体を捻り逃げようと抵抗するが、僕の方が一枚上手だったようだ。
移動の疲れか時差ボケか、さっそく寝はじめたタイシを叩き起こし、アルマジロの写真を撮ってもらう。
めちゃくちゃ嬉しい。正直、アルマジロの捕獲に成功した事で、もう日本に帰っても良いかなとさえ思えるほどの満足感を得ていた。
釣り開始
翌朝、待ち合わせしているマリーナへ向かうとガイドのジェシーが待っていた。
挨拶も早々に出航。さっそくゴライアスグルーパー釣りができるのかと思いきや、ジェシーは浅瀬に目をこらしながら何かを探し始めた。
「オキよ、ゴライアスの餌となるエイをこのボウを使って射抜いて獲るから手伝ってくれ。」ジェシーはそう言って、僕にボウガンを手渡してきた。
ちょ、ちょ!?待てよ!!!
ボウフィッシングなんてしたことねーよ。
そもそも餌とか先に獲っとけよwwwwwww
そんな抗議の眼差しは華麗にスルーされ、全員で海底に目をこらす。
朝は風が吹いて海面が波立ってしまい、エイを探すには悪条件。捕獲にかなり苦戦を強いられた。
それでも2時間費やして、十分な数のエイを捕獲する事に成功。
自身初めてのボウフィッシングではあったが、上々の捕獲数にジェシーも良くやったと褒めてくれた。これでようやくグルーパー釣りができる。エイを捕獲したポイントから30分ほど沖へ向かって走る。沖に行くと言っても、着いたのは水深が10mほどしかない場所だ。
グルーパーは大物マグロ用の道具で釣り上げる。30号のオモリを600lbの超極太ナイロンに通し、巨大なサークルフックを直結したシンプルな仕掛け。そしてなんと、あの大きなエイを丸々一匹掛けにしてポイントに落とし込む。
ドラグは最初から30kgのテンションを掛けていてヒットしたら、根に潜られる前に一気に引きずり出さなければならないという。
イメージを膨らませながら、さっそく仕掛けを海に沈めてみる。ジェシーは、投入している間も気を抜くなとやたらうるさい。
そんな簡単に巨大魚が来るわけが無いと高を括っていると、オモリが着底したと同時に身体ごと海に引きずり込まれそうになった。きた。
とにかく早く巻けと言うジェシー。いや、パワーあり過ぎて巻けねーからwww
想定の遥か上をいくパワーでの突っ込みには驚いたが、強烈な突っ込みを耐えつつ隙をみて一気にリールを巻き取る。
水深は10メートルと浅いため、ファイトタイムは3分程度だっただろうか。思ったより早く決着はついた。
グルーパーフィッシングを開始し、たった数分で150kgクラスをゲット!
正直、いきなり過ぎて状況が把握出来ないまま、船縁で写真を撮ってリリースした。
そしてグルーパーは元気に海底へと消えていった。
その後、タイシと交代。
前回同様、餌を入れた直後に強烈な引きがタイシを襲う。
なんなん!?ここ。凄すぎる。フロリダ凄すぎるじゃん!?
上がってきたのは200kg近いグルーパーだった。
ジェシーもビッグママ!!と叫んで興奮している。
流石に船縁での写真は勿体無いと思い、無理やりタイシを海に入水させ写真を撮った。
タイシはこの1匹を釣った後、余りの疲労感と船酔いでダウンし、再起不能となった。
ビッグママと入水写真を撮りたい僕は、その後もグルーパーを釣り上げ続けるも、納得のいくサイズが釣れる事なく、この日の釣りは終了を迎えた。
帰港中、何でこんなに釣れるのかジェシーに聞いた。
1980年代に資源が一気に減り、1990年から2006年まで全面禁漁を実施。その後、釣りがOKになったが、すべてリリース&船に上げるのも禁止とレギュレーションを徹底させたことにより、グルーパーの生息数が回復し今に至るのだそうだ。資源管理が徹底しているお陰で、日本では幻のようなサイズの魚が簡単に釣れるわけだ。
この日だけで10本近く釣った僕は満足していた。タイシもビッグママを釣り上げ満足しきっている。それどころか、もう釣りたく無いとまで言い出す始末。
この時点で4日間も予約してしまった事を後悔したのは言うまでも無い。
2日目、今日こそ入水サイズを釣り上げようと気合いを入れ直す。
そしてグルーパーのポイントへ到着すると、昨日同様にエイを落とし込む。途端に竿が引き込まれる。一気にリールを巻きとろうと力を入れた直後、余りに負荷が掛かり過ぎてリールが壊れてしまった。
どうやって釣り上げるんだよwww
手でラインを手繰り寄せて釣り上げろとジェシーが叫ぶ。
釣りじゃねーじゃん!!!!!漁じゃん!!!!
ジェシーと二人掛かり、何度もグルーパーの凄まじいパワーの突っ込みに耐えつつ引き上げた。150kgクラスのグルーパーだった。
入水の準備をしていると、「OK!GO!!!」早く海に飛び込めとジェシーが急かす。すると船の横20m先に巨大な何かが水面を横切った。いまの「デカいのはイルカ?」と尋ねると、ジェシーはノーと答えて早く海に入れと言う。
命綱を腰に装着し、海に飛び込みグルーパーと写真を撮った。
目も口も、胸ビレも尾びれもゴライアスの名にふさわしく巨大だ。鱗はかなりザラザラし、まるで岩にヒレが生えたのかと思うほどの佇まい。ヒレというヒレが尖りまくっていてるので、刺さったら痛いで済めばいい方。大怪我の恐れもある。
とりあえず巨大な魚と入水写真を撮る事ができ、満足する事が出来た。
今回の経験から言うと、グルーパーに会いにいくなら2日あれば十分だろう。長期の休みが取りにくい人でも行きやすいと思う。シーズン的には3月〜5月に辺りが天気も安定して良いらしいが、船さえ出れれば一年を通して狙えるんだとか。
ジェシーからのメッセージ
帰国して間も無く、ジェシーからメッセージが届いた。
お前らが入水してた場所で釣り上げた100kgのグルーパーに巨大なオオメジロザメが食い付いて3分の1を持って言った。hahaha…と笑いながら1枚の写真が送られてきた。
OK!GO!!!じゃねーよ!!!!
全然安全じゃねーよwww
もう入水するなんて言わないよ絶対!!!みんなもゴライアスグルーパに会いに行くなら、サメのエサにならないように気をつけて!