漆黒の海でターポンに挑む・前編(ガボン共和国)
漆黒の海でターポンに挑む・前編(ガボン共和国)
小さい頃から男子は色んなものに憧れを持って挑んだり、諦めたりするものだ。そんな私も例外ではなかった。私は学生時代は釣りを諦めていた。
私の学生生活はほぼ全て彼女に捧げ続けたためだ。
今思えば得られるものも多かったが、失うものも大きかった。もちろん釣りは少しはしていたのではある。そんな抑圧された学生生活を経て、社会人になり、海外出張が作れるようになって徐々にタイで釣りをするようになっていく。
そしてタイには当時憧れていた魚、バラマンディ(Baramundi)がいる。そんな生活を送る中、転機が訪れた。離婚、退職である。10年以上抑制し、チャージした釣りに対する欲望を一気に開放することになる。
小さい頃からテレビの影響か海外の淡水魚にどことなく憧れを持っていた。この溜まりに溜まった釣り欲を一気にこの憧れの魚にぶつけていくことになる。
南米に生息する有鱗淡水魚最大種であるピラルクー/Arapaima gigas
成長過程で発色や形状が変化するピーコックバス/Cichla temensis
そしてトラウトの王様、キングサーモン(Chinook Salmon/Oncorhynchus tschawytscha)
ナマズ界の頂点に君臨するピライーバ(Piraiba/Brachyplatystoma filamentosum)
そして国内ではクロマグロ(Pacific Bluefin tuna/Thunnus orientalis)
なかなかハードルが高いと感じていたこれらの釣りも、一度踏み出してしまうと早いもの。とても身近な釣りに感じてくる。
今回のターゲットは釣り番組で見て憧れていた銀色の魚体の古代魚、ターポンも例外ではない。いつかはキャッチしてみたいと思っていたターポンだが、どうしても船べりでの写真ではなく水辺であの魚体に触れたかった。そうなると自ずと選択肢は狭まってくる。
サーフでターポンを抱ける国があると教えてもらったのが2016年。その国はガボン共和国。
西アフリカにある赤道付近に位置するこの国は、南側のベンゲラ海流と赤道反流が合流して反転し、また大西洋に戻る海流を形成する位置にある。
この国にはゴリラやカバ、アフリカゾウが多く棲息し、ジャングルから排出されるブラックウォーターが大西洋の海流にぶつかり、そこに集まってくる小魚を狙って大型魚が集まり、多様な生態系を形成する。
この手付かずの自然溢れるガボンにも古代魚ターポンが棲息する。それが今回のターゲットだ。
いわゆる古代から魚の形をほとんど変えずに今も棲息する(古代魚)ものがいくつか存在する。
インドネシアからアフリカ大陸付近の海溝付近に潜むと言われているシーラカンス。
南米のブラジル付近に棲息する淡水有隣魚最大級であるピラルク。
南米の淡水域に棲息するタライロン。
北米に棲息する一魚種一種である淡水魚のアミアカルヴァ。
どれも古代から形を変えてないだけあり、造形美が美しい。
北米の南部域で卒業旅行の時にキャッチしたアミアカルヴァ(Bowfin/Amia calva)
その中でも今回は大西洋に広く分布するターポン (学名: Megalops atlanticus 英名:Atlantic tarpon、アトランティック・ターポン、カライワシ目イセゴイ科に属する魚。)が今回のターゲットだ。
この魚はカリブ海のコスタリカなどでボートフィッシングのターゲットとなる魚だが、ここガボン共和国ではサーフから狙う。
ガボンでサーフからやる理由は、ボートを海に出せる環境ではないことが大きな要因だ。河口域は岩が川底を覆い、急流を形成。
運良く海に出られても戻れる保証のないほど河口域の払い出しの流れが強い。
今回のフィールドはジャングルを形成している大型のブラックウォーターラグーンの払い出し域に形成されているサーフエリアがポイントになる。
2017年。このターポンに挑み、2回ヒットしたが、1回目は成すすべなくフックアウト、2回目はラインブレイクをした苦い経験がある。
このガボンでのサーフフィッシングは世界的にみても色んな制約があり、過酷な釣りだと感じている。この釣りの難しさはいくつかある。
・ボートではないので魚を追いかけられない
・ターゲットが80kg以上もある
・限られたラインの長さで勝負をかけなければならない
・ターゲットがいるレンジが遠いので飛距離が重要
・波間のサーフで1時間相当のファイトを強いられる
・ゆっくりファイトしているとサメにターゲットが捕食される
など、挙げればキリがない。極限でのやり取りを強いられるのだ。今回はこのサーフの釣りに8名で挑んだ。参加者のうち7名は海外やクロマグロを普段からやっている経験者。その中には世界を釣り歩く茂木陽一さんも参加していた。
そんな今回のターポンフィッシングの集合場所は、ガボンの首都リーブルビルでの現地集合だ。
ガボンへのアクセスはエールフランスかエチオピア航空でアクセスする。今回困ったのは成田からバンコクを経由し、アディス・アベバを経由してガボンに入国したのだが、日本からバンコクまではANA。
バンコクからガボンまではエチオピア航空だったのだが、日本ではバンコクまでのチケットしか発券されずバンコクで発券する必要性があったのだ。
これくらいはなんてことのない話だ。
タイのスワナプームには何回も行っていた僕は大して気にもしていなかったが、甘かった。エチオピア航空のチケットカウンターのある場所が複雑かつ出発カウンターまでの歩きの距離が以上にあった。
片道25分だ。往復で50分以上ロスしてトランジットの時間ギリギリになり、久しぶりに焦ってしまった。
現地に先に到着したエチオピア航空組の僕は、EVISAのカウンターで85EUR支払い、荷物を受け取ってホテルにチェックイン。茂木さんとFさんと一緒に国内観光をすることにした。
TripAdvisorで1番最初に出て来たのはガボンの博物館。とりあえずここに行ってみることにした。外観は綺麗。何故か入る前に写真を禁止された。中に入って理由がわかった。展示するものが少なくクオリティが低いのが原因だったのだ。
そのあともお土産屋さんや、魚市場を見学。特にこれと言って面白いものはない。
ガボン共和国は観光資源に乏しく産油国として成り立っている国だ。1960年に独立するまではフランスの植民地だった国だ。現在は中国からの移民が増え、華僑が増えてきている。
現地では重宝されている魚の塩漬け干し。これは水で戻したあとに料理に使うらしいのだけど、美味しいらしい。
大西洋を見ながらカフェをしてエールフランス組を待つ。ようやく合流して明日から移動。ホテルに戻って休息する。
翌日、セスナ機で目的地であるGambaまで移動。雲が重たい。約2時間くらいのフライトだ。
リーブルビル付近の海は上空から見るとこんな感じ。
ジャングルを抜けてフライトを続ける。目的地を上空からみるとこんな感じだ。
セスナ機を降りて車に乗り換える。赤土がアフリカや赤道直下の国のイメージそのままだ。
ボートで最終目的地のロッジに向かう。1時間半かけてようやくロッジに到着。
1年ぶりに戻ってこられた。Sette Camaロッジ。各自ロッジに入り、釣りの準備をする。
今回のターポンフィッシングのメインはナイトフィッシング。夜に河口部に寄ってくるターポンを狙うのがここの釣り方だ。
ボートに乗り込み、アフリカ象を横目にポイントを目指す。
漆黒の海でターポンに挑む・後編はこちら
http://www.monstersproshop.com/gabon-tarpon2018part2/