ザリガニでジビエ!ウチダザリガニを食す(福島県)
ザリガニでジビエ!ウチダザリガニを食す(福島県)
北関東から東北・北陸の山が薄っすら紅葉で赤く染まり始める9月末日。裏磐梯の山へ、ウチダザリガニの捕獲に出掛けた。
日頃から、今年こそ紅葉が観たいと嫁にせがまれていたのだが、今回もザリガニ捕獲を目的としていた私は、後ろめたさを感じながらも友達の助手席に乗り込み、男2人で紅葉の地を目指したのだ。
ウチダザリガニ
日本で生息しているザリガニは3種。日本在来種のニホンザリガニ。そして、外来種であるアメリカザリガニとウチダザリガニである。
今回捕獲に向かうウチダザリガニは、北米原産で他の2種に比較すると、15cm程まで成長する大型種。比較的冷水を好み、日本でも近年、北海道を中心に福島県・長野県・滋賀県・千葉県などで個体数を増やしており、在来種への影響も危惧されている。
また上記2種の外来種のザリガニのうち、ウチダザリガニについては特定外来生物に指定されており、活きたままの運搬や飼育は禁止されているので、くれぐれもご注意いただきたい。
捕獲編
福島県の山中。以前にも此処を流れる川でのウチダザリガニを捕獲しており、その場所を目的地とした。川を流れる水は冷たく清みきっている。
藪漕ぎや水に入ることも想定し、一先ずウェーダーを着込み下流から上流に向けてウチダザリガニの捜索を始めた。
当日は気温も低め。ウェーダーはダニなどの虫よけにもなるが、何よりも防寒に役立った。
道路の脇を流れる小さな川。明るいうちは静かな小川であったが、日が暮れるとともに様子が一変する。
数少なく大きさも小振り。食用としては決して芳しくないウチダザリガニ数匹を網で捕獲したが、食べて満足するには程遠い大きさと成果であった。
しばらくポイントを寝かせ、彼らが捕食のために活性があがる日暮れまで、時間をおくことにした。
日没後、益々の気温低下と、振り出した冷たい雨に耐えながらの捕獲再開となった。明るい河川とは様相は一変。岩という岩の隙間から、次から次へとウチダザリガニが這いだしてくる。
もう網は必要ない。足元には岩の隙間から這い出たウチダザリガニだらけ。素手での捕獲を行った。
食用に適した大きな個体も姿をみせてくれた。
爪の根本の白い斑点。ウチダザリガニの特徴の一つ。
かなりグロテスクだが、この尾の部位が美味しいらしい。
僅か1時間程で、持ち合わせた入れ物は無数のウチダザリガニで埋め尽くされた。
食用に十分な個体数を容易く捕獲した私は、特定外来種として生きたままの移動ができないウチダザリガニを、その場で熱湯にてかるく茹で半生の状態で持ち帰ることにした。
実食編
早速、持ち帰ったウチダザリガニの調理に取り掛かる。
⓵ウチダザリガニの素揚げ
小さい個体は水分をしっかり除いた後、熱い油に投げ込みシンプルに素揚げすることにした。油に入ったウチダザリガニは、茹でた時よりも鮮やかに赤く染まり、カラッと揚がった。
香ばしい味わいで、サクサクになったザリガニの表面と中から溢れ出る柔らかい身のコントラストが、堪らなくお酒の肴にあう一品。ただ泥抜きをしていないため、僅かに残る泥の風味。
また、小さい個体を選んだつもりであったが、僅かでも大きなものは爪の部分の殻が非常に固く、ガリガリと口の中に残った。双方相まって不快な後味を残した。
⓶ウチダザリガニのボイル
定番中の定番。熱湯に塩を入れゆで上げる。お湯の中で綺麗な赤に染まる姿が、美しく食欲をそそる。
某番組で尾の部位は海老。爪の部位は蟹と紹介されていたが、まさしくその通りの食感。ザリガニを茹でるだけで、プリプリの海老と柔らかい蟹の身が味わえる至高の食材と言える。
⓷ウチダザリガニのパスタ
面倒ではあるが丹念に尾と爪の部位の身をほぐして取り出す。
卵。味はたいして美味しくもないのでパスタに入れる必要はなかったことに後に気付く。
ニンニクとオリーブオイルでさっと炒める。
うん!ビジュアルは完璧に仕上がった。
ボイルした身を丁寧にほぐし、メスから取り出した卵を軽くオリーブオイルと塩コショウ、ニンニクで炒める。トマト缶を流し込み、その後ボイルした際のゆで汁を足す。パスタもザリガニを茹でた熱湯で5分。ザリガニの香りが引き立つ一品の完成となった。
以上の3品を、嫁と仲良く調理し美味しく味わった訳だが、今回紅葉はみせてあげなかった代わりに真っ赤なウチダザリガニを観て満足してほしいと、心ない言葉を投げかけると、先程まで上機嫌だった彼女の顔は、怒りのあまり真っ赤に染まった。
その赤くなった様は、紅葉やウチダザリガニを更に凌ぐ美しさであったことを追記しておく。
女心と秋の空とはよく言ったものだ。
*ザリガニの調理に関して:ザリガニは肺吸虫などの寄生虫が寄生している可能性があります。通常は泥を吐かす。日本酒にしっかりつける。
しっかり加熱するなどの処理を行いますが、ウチダザリガニは上記したように生きたままの運搬や飼育が禁止されているため、泥を吐かすことは困難です。
なるべく水質の良い場所で捕獲を行い、日本酒等で殺菌及び過熱をしっかり行い身の部分をご賞味ください。