世界最大級の淡水魚、メコンオオナマズを家族で釣ってきた☆
世界最大級の淡水魚、メコンオオナマズを家族で釣ってきた☆
「タイは、若いうちに行け」
誰の口から聞いたものだったか、そんな言葉に触発されて初めてタイに行ったのは1996年のことだった。
2度目は、タイ最大のバイクイベントで歌いに、ハーレーに乗ってバンコクからパタヤまで走った。
そして、3度目となる2016年2月、バンコクに住む兄から送られて来た写真がきっかけで、再びタイに行く事になる。
その写真には、普段はまぁまぁクールな兄が、大きな魚の横に寝転んで、笑顔ではしゃいでいる様が写されていた。
その、兄を童心に帰らせた巨大魚の正体を聞いてみると
「メコンオオナマズ」だという回答が返ってきた。
メコンオオ・・・!?メコン・・・。
聴き間違えたのかと思った。
関西人には、ちょっと卑猥に聞こえてしまう「メコンオオナマズ」、世界最大級の淡水魚らしい。
そんな「メコンオオナマズ」が釣れる釣り堀が、タイにはあると言うのだ。
「めっちゃ釣りたいやん!!」
完全に、火が付いてしまった。
兄に会いにという名目で、ぜひメコンオオナマズに会いに行かなくてはいけない。
ところが、釣り三昧の一人旅をと企んでいたら、なんやかんやで両親も一緒に行く運びとなり、結局は家族旅行という形になってしまった。どこでもドアを開くと、南国が待っている。ドラえもんはタイでも大人気。
初めての訪泰となる両親は、やはり観光がしたいようだ。
私はというと、正直言って一刻も早く釣りに行きたい気持ちがマンチクリンだったが、親孝行も大切である。
タイの観光名所巡りにつき合わせてもらうことに。
タイには、「ワット・◯◯」という感じで、ワットとつく場所が多いので、「What is ワット?」とオヤジギャグの如く尋ねてみると、仏教寺院の事だった。
通称・エメラルド寺院の「ワット・プラケオ」。
トゥクトゥクを見ると、「あ~、タイっぽい」って思う。実は日本で乗っている知り合いがいるが、なかなか速い。
そして大好きな場所であるアユタヤへも。
アユタヤの必見ポイントは菩提樹に木におおわれた仏様。写真を撮る時は、しゃがんで仏様の顔より低くならないといけない。
仏様のパワーと自然のパワーに魅了される。
旅の途中、手を合わすシチュエーションでは、「家族が健康で幸せに暮らせますように、そして、メコンオオナマズが無事釣れますように」と祈っていた。
有名な涅槃像は見ているだけで不思議と癒される。
「大丈夫、無事に釣れるよ」と微笑んでくれているかのようだった。
私の悟りはいつ開くのだろうか。
この地に来るのは数年ぶりだが、大きく変わっていた光景に面食らった。
観光客に人気のエレファントライド、待機中、象使いのお兄様達は、スマホに夢中だった。
ながら運転はさすがにしていなかった。
タイ人にとって、象は特別な存在である。実に可愛らしい。
チップを払うと一緒に写真を撮る事が出来る。
実に可愛いのは、象だけではない。ニューハーフのお兄様!?お姉様!?もレベルが高い。ニューハーフの皆様によるエンターテイメントが楽しめる「カリプソ」バンコクにて。
旅における重要なファクターである食についてだが、タイ料理は日本人の口に合う。
香辛料もハーブもクセになる。
こちらは、大好きなプーパッポンカリー(蟹カレー)。カニ肉の甘さと卵が絡んでるので辛くはない。
蟹だからか、亀甲縛りではなかった。
そして、いよいよ、待ちに待った釣りの日が来た。私にとっては、旅のメインである。
丸1日楽しむつもりでいたが、スケジュールを仕切っていた兄に聞くと半日予定だという。
「短かすぎるんちゃうん?」と不安と不満が脳裏によぎったが、釣るしかない。
家族を巻き込み、両親、兄、私と4人で乗り込んだ場所は「ブンサムラン・フィッシングパーク」。世界最大級の釣堀で、タイの隠れた観光名所でもある。世界最大級の淡水釣り堀へ。
有り難くも、兄には運転手がいるので、連れて行ってもらえたが、バンコクのスワンナプーム国際空港からタクシーで約40分、ボラれなければ千円位で到着する。
しかも、年中無休の24時間営業。素晴らしい。
中に入ると、迎えてくれる大きなオブジェだけでもテンションが上がる。早く本物に会いたい!!
さっそく受付を済ませる。日本語の料金表も設置されている。
料金は、基本料金+レンタルタックル1本+タモ+ガイド+エサx2で、合計3900バーツ(約13000円弱)。
限られた日にち、時間、メンバーなのでガイドは迷わずお願いする事に。少々お高く感じるが、人数で割ると以外と安い。
さらに竿1本プラスするなら、600バーツ(約2000円)かかる。そしてこの釣堀には「タイ人割引」というシステムが存在する。タイ在住者は、海外からの客よりも割安で釣りを楽しめるのだ。
兄がタイ在住という事で、上記の値段よりもいくらか安く上がった。兄よ、タイに住んでいてくれてありがとう。
中に入ってみると、別世界というか、夢のような世界、大きな釣り堀が広がっていた。
なんせ、広い!!さすが世界最大級。
中には、コンビニ、釣りショップ、マッサージ、ゲームコーナーに食事コーナーまでも完備されている。割とシュールなゲームコーナー。
別料金で、コテージでお泊まりやBBQだって楽しめる。覗きに行ってみると、2組の日本人に会った。
今回は、半日と言う事で、共同浅橋をチョイス。共同といえど、1区画が大きいのでかなり広々と使える。
さっそく、年季の入ったレンタルタックルに仕掛けをセットする。
仕掛けは誘導式のウキに、鯉釣り用よりずっと大きめの螺旋。そして、やたら軸の太い食わせ鈎という構成。このぶっとい螺旋に餌を練りつける。仕掛けが大きいだけに、魚の大きさへの期待も膨らむ。
エサだが、勝手に肉食かなと想像していたら、まさかのパン食!!
大量の食パンの耳に水を混ぜ、パンをシナっとさせ、仕掛けの螺旋部分にオニギリを握るかのように、くす玉のようなボールを作る。え!?そんなにバカデカイの?と一瞬ひいてしまった。
ガイドさん、実に何から何までしてくださる。ぶっちゃけ、仕掛け作りから、キャスト、さらにフッキングまでして、竿を渡してくれる。苦笑。
なので、自分のこだわりとプライドで、どこから自分でするのかを決めればいい。
私の場合、釣りの醍醐味は、フッキングからのファイトだろうと思っている。そこだけは、やはり自分でやらせてもらいたい!
激しい格闘に備え、ファイティングベルトを装着。ベルトは、日本ではバラムツ狙いの時に装着するくらい。そんなに凄いヒキなのかとワクワク。
その時、隣で竿を出していた人に魚がヒット、すさまじいファイトが始まった。
大物なのか、それとも並みのサイズなのかは分からないが、顔色を見るにかなりツラそうである。
と思いきや突然、叫び声がこだました。
なんと、ファイト中に竿が根元から折れたのだ!!
バラしてしまった事、ロッドを折るとお金がかかる事でダブルでお気の毒な事と裏腹に、そんなに、すごいヒキなのかと興奮してしまった。
さて、次は私の番!!
意気込んでパンの耳で出来た爆弾のような仕掛けを40mほど先にぶん投げる。糸ふけをとり竿を置き、アタリを待つ事15分。
ウキがツンツンと動いた。魚がエサをつつきに来たのだ!
気持ちは焦るが、すぐにはアワセない。タイミングがわからない。ガイドの指示を待つ。
すると、次の瞬間!それまで英語で喋っていたガイドさんが、日本語で「キタ~!!」と叫んだ!
反射的にアワセを入れる。
ファイティングベルトに竿を差し込み、ファイト開始!
日本で釣った事のあるナマズとは引きが全然違うし、はるかに大きそうだ。力強い引きに翻弄される。
ガイドさんは、日本語で「巻いて~、アゲて~!巻いて~!アゲて~!」と繰り返す。
最初のうちはそこそこ余裕を持って渡り合えるのだが、近づいてくるほどに竿にのしかかる重みはドンドン増すし、どういうわけか走り方も力強くなってくる。
足場にしている桟橋の下は空洞になっている。ここに潜られると非常に厄介だ!なんとかここで踏ん張りたいっ!
意を決して勝負に出ると、水面に大きな魚体が翻った!
「オオ~!メコン!!」
と感動しながら力いっぱい巻き引き寄せ、タモを入れてもらう。タモを入れてもらう瞬間がたまらない。早く入れて~!!
ついに、憧れのメコンオオナマズをゲット!!
想像以上に大きい。パンばかり食べてるから、炭水化物太りしているのだろうか?「20kg」とガイドさんは言うが、20ポンドの事だろう…。
この魚には鱗が無い。
肉厚なボディーは、まるでほ乳類のような抱き心地だった。
日本のナマズと比べて顔も口もシャープな印象で、何よりナマズといえばのチャームポイントであるはずのヒゲが無い!
…と思いきや、唇とアゴの間位に、2cm弱程の短いヒゲがチョンと生えていた。よく見ると生えてる。たまに1本だけ長いヒゲが生えてるおばちゃんのような感じ。
ここで、日本で釣ったナマズと見比べてみる。日本の方が、ヌメヌメっとしてる。
ヒゲも日本の方が太くてはるかに長い。
そして父。大物とのファイトは初めてで、走るナマズに引っ張られ、なんと自分の持ち場から5つも横の釣座へと一緒に走り、無事ゲット。
ナマズに散歩されているかのようだった。ご満悦の笑顔だった。
続いて、釣り経験ゼロの母。ガイドさんにフッキングまでしてもらい、竿を受け取る。
リールを巻くことさえ初めてなのに、いきなりメコンオオナマズを相手にするのは相当ハードルが高い。
釣り堀に落ちないか、ぎっくり腰にならないか心配した。だが、そこは私のオカン。大阪のオカン。
やってくれました!しかも大きい!いつも私がブリ等を持って帰ってくるので、大きな魚にも抵抗は無かったようだ。
釣りデビューがメコンオオナマズというオバちゃんは、日本には、なかなかいないかもしれない。
ガイドさんは、「30kg!」と言うけど、リップサービスが入ってるにしても30kgは大きすぎる。おそらく30ポンドの事だろう。それ、えらい違いやでっ。
何度か来てる兄も、もちろんヒット。パーカーホというコイのお化けみたいな魚もこの釣堀で釣ったことがあるらしい。
家族4人で1本の竿を回しまわし使ったが、なんせ腰痛になりそうなファイト。これくらいが休憩も出来て丁度よかったのかもしれない。
私はその後も釣り続け、釣果を伸ばした。ホンマ、腰にくる。
次第にかわいく思えてくる。
3匹釣って、腕がパンパンだったが、添い寝して撮影するのを忘れ、追加料金を払い、パンの耳を届けてもらう。
自転車でご飯や餌を届けてくれるのだ。
私のワガママにより、家族を待たしていたので、焦ってか、数回バラし、念願の添い寝!少し悟りが開けた気分に。
釣果は、3時間で1本の竿を私メインで使い、私4匹、兄1匹、父2匹、母2匹で、汗だくになってのストップフィッシング。
「メコンオオナマズを家族で釣った」「家族で釣りをした」という事が何よりも嬉しい。
一生忘れない、大切なメモリアルフィッシュになった。
トモチン