奈良県にも外来ナマズの脅威… 布目ダムにチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)定着
奈良県にも外来ナマズの脅威… 布目ダムにチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)定着
主に霞ヶ浦水・利根川系などで定着、生態系のかく乱や甚大な漁業被害をもたらしている北米原産のナマズ、チャネルキャットフィッシュ(別名:アメリカナマズ)。
彼らが猛威をふるっているのは関東圏のみだと思われがちだが、近年は愛知県矢作川や福島県阿武隈川水系でも繁殖が確認されている。また、近畿地方でも琵琶湖水系のいくつかの河川で生息が確認され、定着が懸念されている。
だが、固有種の多さから盛んにその実態が報道され始めている琵琶湖水系以外にも、人知れず、だが着実にチャネルキャットフィッシュが猛威をふるっている水域がある。奈良市の布目ダムである。
チャネルキャットフィッシュが生息する布目ダム。休日にはヘラブナやオオクチバス、季節によってはワカサギ目当ての釣り客でにぎわう。
独立行政法人水資源機構の報告によると、布目ダムで初めてチャネルキャットフィッシュの生息が確認されたのは平成19年とされる。
本種は貪欲な食性に加えて繁殖力も旺盛である。そのため同ダムに先んじて侵入していたオオクチバスやブルーギルと同様、あるいはそれ以上に在来魚類等の捕食を通じて生態系に悪影響をもたらす恐れがある。
布目ダムのチャネルキャットフィッシュは今や一般の釣り人が釣り上げることも珍しくないまでに増えている。
試しにサバの切り身を投げ込んでしばし待つと、釣り竿がガタガタと大きく揺れ始めた。
力強い手ごたえを感じながらリールを巻くと、30センチほどのナマズが水面を割った。大型個体は1メートルを超えることもあるという。
夕方に姿を見せた小型のチャネルキャットフィッシュ。身は意外にもおいしく、原産国のアメリカではフィッシュフライの材料として人気が高い。ただし、取り扱う際は胸ビレのトゲに注意する必要がある。
また、本種の胸ビレのトゲは鋭く、不用意に触れると怪我をすることがある。さらにこのトゲにはノコギリ状の突起が返しのように並んでおり、一度刺さるとなかなか抜けないという。これが漁師たちに忌み嫌われる要因の一つであるようだ。
さらに2016年6月11日(土)には布目ダムでは初めての試みとなる、本種を対象とした釣り大会が開催される。この大会は布目ダムにおける本種の実態調査も兼ねるものだという。
※布目ダムで釣りをする際には遊漁券(年券:5,000円 日券:1,000円 監視員巡回時の購入は500円増)の購入が必要です。また、撒き餌の使用と夜釣りは禁止されています。