ピラニアって実際どんな魚なの? アマゾンで釣って食べてみた
ピラニアって実際どんな魚なの? アマゾンで釣って食べてみた
南米大陸に生息する肉食魚ピラニア。
一般的には『コワイ魚』のトップ3には確実に入るだろうし、
世間がイメージする『怪魚』の代表格と言えるかもしれない。
が、実際に南米帰りの釣り人が、この魚を語ることはほとんどない。
なぜなら、バス釣りで言うところのブルーギルみたいなもので、
基本的には外道&ザコキャラのポジションにハマっているからだ。
南米に通いまくる怪魚ハンター達にとっては、当たり前すぎて記事のネタにもならないのである。
そんなわけで、いまだピラニアに一喜一憂できる南米素人として、
あえてこの魚にスポットライトを当ててみた。ピラニアって、実際どんな魚なの!?
一口にピラニアといっても多くの種類がいる。
ピラニアというのは特定の種を指すわけではなく、総称に過ぎないのだ。
ざっくり言うと、こういうビジュアルの肉食魚をピラニアと呼んでいる。ちなみに、ピラニアは現地の言葉で”歯のある魚”という見たまんまの意味らしい。
南米大陸北部のガイアナ共和国へ釣行した時のこと。
現地に着いてルアーをキャストすると、最初に釣れたのはやはりピラニアだった。
そして、いきなり驚いた!『えっ、ピラニアってこんなにデカくなるの?』と我が目を疑った驚愕の1匹。ブラックピラニアという大型種で、もっと大きくなるそうだ。
竿をひったくられるかと思うほどの激しいアタック。
パワフルでトルクのあるファイトはホント素晴らしいの一言。
『ピラニアってステキやん!』と思ったのも束の間だった…一撃でルアーの針やヒートンがひん曲がる。まあ、これは力の強い魚ならある話なのだが…。
リップが食いちぎられたり…。
胴体が真っ二つにされたり…。
コイツら、ヤバすぎる!!
そう、釣り上げることは凄く楽しいのだが、ルアーが次々に破壊されていくのだ。
それも、ありえない姿に…。
ルアーボックスがゴミ箱になっていくのだから正直たまったもんじゃない。
これが、せいぜい30~40センチほどの魚の仕業だと考えると『恐怖』の二文字しかなかった。
そういった破壊行為の武器となるのが、ご存じビッシリと並んだこの牙。試しに口の中に物を入れてみると、それが木だろうが鉄だろうが、とりあえずガチガチと噛んでくるから恐ろしい。
ルアーじゃないから、と安心はできない。
ナマズなどを狙って餌を打ち込んでいると、高確率でピラニアに食い荒らされてしまう。
大切な本命魚とのファイト中に突然ラインを噛み切っていくし、
聞くところによると、ワイヤーリーダーや鉛製のオモリまで引きちぎっていく猛者もいるらしい。
毛バリなんて使おうものなら…結果は言うまでもない。こんな芸当ができるのは牙の鋭さだけではない。釣りをしていると、噛んだものを離さないアゴの力、物を引きちぎる首振りの力が尋常ではないことが竿を通して実感できる。
とにかく、釣りの外道として見た場合、これほど厄介な魚は他に思いつかないくらいにヒドイ。
逆に言えば『ピラニアを制する者がアマゾンを制する』のである。
では、世間で言われているように、本当に人まで食ってしまうのだろうか?奥地でのキャンプ生活では川で入浴することもあるが、ピラニアに噛まれたという話は聞かない。『毒エイに気をつけろ』とは言われたが。
大型生物の多いアマゾンでは、いかにピラニアと言えども普段は身を潜めて、ひっそりと生活しているのだと思う。
基本的には神経質で臆病な性格で、手当たり次第に相手を攻撃するという事はない。
弱い生き物だからこそ、いざという時のために武器を持っているのかもしれない。
さらに、意外だったこと。
それは、ピラニアは”おいしい”って事だ。ブラックピラニアの刺身。淡白だがちゃんと旨味もあり川魚とは思えなかった。ただし、寄生虫がいるので生食はオススメしない…と、食べた後に教えてくれた。
塩焼きにしてもうまい。ふわふわ食感でホッケのようだった。
そして、最高にうまかったのがピラニアスープ。とてもコクのあるまろやかなダシが出る。日本でも生活でも毎朝飲みたいと思ったくらい。
とにかくピラニアは良いダシが出るので、
みそ汁にしても良いし、ナマズを具にしたお鍋なんかは最高かもしれない。
アマゾンを訪れた際には、ぜひお試しあれ。
釣りをする上では厄介な存在だし、お気に入りのルアーを破壊されれば腹も立つ。
指に歯が当たって出血したこともある。
でも、個人的にはピラニアという魚が大好きだ。よく見るとキラキラしてキレイだったりする。
それは、きっとピラニアがアマゾンの象徴だからだと思う。
南米釣行の初日にピラニアと出会えた時、
『自分は今アマゾンにいるんだ!』という最高に幸せな気分にさせてくれるからである。