霞ヶ浦で巨大魚「コクレン」のミイラを見つけた
霞ヶ浦で巨大魚「コクレン」のミイラを見つけた
3月末、友人と魚釣りをしに訪れた霞ヶ浦湖畔で、衝撃的なモノを見つけてしまった。
どうやら魚の死骸のようである。しかも巨大な。
遠目に見つけたときはクエかと思った。だがクエは海水魚だから、霞ヶ浦にいるわけがない。
では何だ。近づいてみると頭骨が異様に大きく、それに対して口は小さくすぼんでいる。
ああ、ここまでデカいのは初めてだが、以前に見たことのある魚だぞ。アメリカで。
この個体の全長は乾燥で骨が縮み、背骨が折れてしまっている状態でありながら132cmもあった。もしこれが新鮮な状態なら、140cmはあったのではないだろうか。こんなにデカくて奇妙な魚が東京から車でたった2時間の場所にいたなんて、驚きである。ロマンすら感じる。
この亡骸の正体は「コクレン」という魚だ。
コクレンとは、ハクレン、ソウギョ、アオウオとともに四大家魚の一つに数えらる、中国大陸からやってきたコイ科の魚である。
コクレンはハクレンと同様にレンギョと呼ばれることがある。しかし、コクレンはハクレンに比べ頭の大きさが大きく、体色に黒みがある。また、腹部の隆起縁が腹鰭の位置よりも後方にあることが特徴だ。
ハクレンとコクレンと人間を並べて写真を撮ってみた。ちなみにこのハクレンの全長は97cmである。
本種は中国では一般的な食材として用いられている魚である。日本でも自然繁殖が確認されてはいるが、その数は非常に少なく、いわゆる「幻の魚」とされている。
日本における主な生息地は、利根川、霞ヶ浦、北浦、江戸川などである。流程の長い大河でないと卵が孵化しないため、生息水域が非常に限定されているのだ。
その一方で、僕が数年前まで暮らしていたアメリカでは、大河が豊富なためかコクレンが大量に繁殖しており、生態系に影響を及ぼすとして駆除活動が行われるほどであった。
日本でいうブラックバス(オオクチバス)のようなポジションにあるのだ。
テレビで見たことのある人がいるかもしれないが、アメリカのある河川を船で走っていると、物凄い量の魚が跳ねて船の中に飛び込んでくることがある。これの正体がコクレンとハクレンである。
日本では、「幻の魚」として扱われている魚が違う国では、一般的な食材であったり、外来魚として駆除をされている。
国や文化が違うと、同じ魚への考えが変わってくるのだ。とても興味深い。
……この死骸がその後どうなったか?
一応、日本では「幻の魚」らしいので、とりあえず自宅まで持ち帰りました。