トロピカルな海の地味なヤツ。 沖縄のヤミハタよ輝け!!(沖縄)
トロピカルな海の地味なヤツ。 沖縄のヤミハタよ輝け!!(沖縄)
ハイサイ!
ちょっとご無沙汰しておりましたが、沖縄在住イラストレーターの時川です。
ところでみなさん、沖縄の海の魚というと、どんなイメージを持たれますか?
「う~~ん、やっぱり熱帯魚みたいにカラフルな魚がサンゴの海にいっぱいって感じかなぁ」
そうですよねぇ。
鮮やかなブルーに輝く海まで出かけたならば、気分はもう、美ら海(ちゅらうみ)水族館!
僕はシュノーケリングも好きなんですが、近所のビーチにちょいと潜れば、こんな感じ~。きれいですよねぇ。
我が家から車で15分のビーチ
エントリーしてすぐに登場してくれ、子どもでも簡単に見られるのがルリスズメダイ(学名:Chrysiptera cyanea)。
黄色やシマシマ、赤いのやいろんな色が混じったの…もう少し深いと魚種も増え、大物も現われます。
縞模様がきれいなツノダシ(学名:Zanclus cornutus)もチョウチョウウオなどと並んでよく見かけます。
○たしかに地味な体色ですが…
だけども沖縄の海にだって「ト、ロ、ピ、カ、ル ♬」なんて言葉が絶対似合わないような、地味ぃ~~~なお方がいるんです。
名前からしてもうとんでもなく暗いお方が…。
その名は、
ヤミハタ!!
漢字で書けば「闇羽太」。
そう、「真っ暗闇」の闇、「闇金融」の闇、「闇サイト」の闇、
「闇に葬れ」の闇だぁ~~~~っ!!
ウェ~~~~ン!!!
(なんだか悲しくなって思わず泣いてしまいました)
そのお姿はこちら!
以前、夏に釣ったものです。沖縄というよりは寒い海のコンブの間に潜んでいそうなキャラですね。
うーん、確かにダーク系な色合いですが…、なんでこんな名前をつけられちゃったのかなぁ。
正々堂々と生きていらっしゃるでしょうし、ハタの仲間の中でも実は明るい性格で、いつもジョークを飛ばしてみんなを笑わせているかもしれないのにねぇ。
せめて“チャイロシマハタ”くらいにしてくれてたらよかったのに、なんて思ってるんじゃないのかな。
○沖縄のハタたち
そうそう、「ハタの仲間」と書きましたが、沖縄ってハタの種類が多いんですよ。
せっかくなので、釣りをしていてよく会うおなじみさんをご紹介しておきましょう。
それにしても、なんだこの不公平さはっ!!ていうくらい、ヤミハタと違ってみんな鮮やかな体色をしていますなぁ。
朱色のボディが大迫力なのはバラハタ(学名:Variola louti、沖縄名:ナガジューミーバイ)
点々模様がかわいいのはカンモンハタ(学名:Epinephelus merra、沖縄名:イシミーバイ)
Monsters Pro Shopの過去記事でも紹介
http://www.monstersproshop.com/ishimiibai/
背ビレの先っちょが黒いのが特徴なのはアカハタ(学名:Epinephelus fasciatus、沖縄名:ハンゴーミーバイ)
沖縄三大高級魚の1つスジアラ(学名:Plectropomus leopardus、沖縄名:アカジン、アカジンミーバイ)
シロクラベラ(学名:Choerodon schoenleinii)、ハマダイ(学名:Etelis coruscans)
ヤミハタのようなダーク地ではありますが、サファイアをちりばめたかのようなドットパターンが魔性チックな輝きを放つアオノメハタ(学名:Cephalopholis argus、沖縄名:ヤーラミーバイ、ヤワラーミーバイ)。
ニジハタ(学名:Cephalopholis urodeta、沖縄名:アカワタ、アカミーバイ)。
体色が変化することから漢字名では「虹羽太」とついたそうですが、地元では尾びれを指して「二字羽太」だよという方もいらっしゃいます。
ツチホゼリ(学名:Epinephelus cyanopodus、沖縄名:タカバー、タカミーバイ)。
派手ではないですが、和服の生地を思わせるような上品な模様が美しいですね!
あ、それぞれ沖縄名のところで「○○ミーバイ」となっていますが、ミーバイというのはこちらで「ハタ」の意味なんですね。でも、ヤミハタの場合は頭に何もつけず、ふつうはただの「ミーバイ」としか呼ばれません。
ああ、どうしてまともに相手してくれないのよぉ~~~っ。
もっとかまってぇ~~~~~~!!
こんなかわいそうな境遇のヤミハタさんですが、食材としてはなかなかおいしいんです。
小型ではあっても鍋材料で珍重されるハタファミリーの一員ですもんね。
魚汁にするといいダシが出るし、唐揚げはビールや泡盛のつまみに最高。
よしっ、ヤミハタ向上委員会会長の僕としては(今勝手に結成しました)もうちょっと応援してあげたいので、なにか気の効いた料理を作ってみましょう。
どんなのがいいかなぁ、まずは釣ってこなきゃ!
○爆風下の激シブフィッシング
少し前になりますが、釣り仲間と出かけたのは1月末。
全くトロピカルな雰囲気ではありませんが、この時期は沖縄といえども北風が強い日が多く、体感温度もグッと下がって寒いのです。
乗船したのは県中部東海岸・中城浜漁港から出船のK701艇。
荒れ荒れの海況で沖には出られないが、港から近いところならOKと浅場限定で出船してもらいました。
沖縄では人気釣魚であるハマフエフキ(学名:Lethrinus nebulosus、沖縄名:タマン)ほかを狙う五目釣りの中、ヤミハタも混じるとうれしいなぁ。
釣り仲間たちと、さあ出船! ヤミハタが釣れますように!!
しかし、コンディション悪くなかなか釣れません。
浅場の水は冷たく、多くの魚たちは水温の安定した沖の深場に散ってしまったかも~。
ハマフエフキが釣れたけど赤ちゃんサイズ。
画像からはあまり伝わらないかもしれませんが、波高くかなり揺れてます、風にガンガン流されてます。
酔い止め飲んどいてよかったぁ。
(ちなみにこの日、同じエリアの他の遊漁船は出船を取りやめたそうです!)
釣りは気まぐれな自然相手です。
何をやっても、達人の手にかかっても(僕はへっぽこ)、なかなか釣れない難しい日ってあるもんです。
ですが、これまでの経験を振り返ってみると、そうした日にもなぜかヤミハタだけは釣れ、ボウズ(釣りで1匹も釣れないこと)逃れの救世主となってくれることが多いんですね。
そ、そ、そうなんです!!
実はヤミハタったら「闇」どころか低調フィッシングの中で「希望の光」として輝いてくれるいいヤツなんですよ!
そしてこの日もまともにハマフエフキや大型のハタ類が釣れない中…ぽちぽちとではありましたが、ヤミハタは現われてくれました!!
船長が釣ったグッドサイズ。
この魚は大きくても30cmくらいなんです。
僕も釣れました!うれしい!!!
○ヤミー☆サンドを作ってみました
さて、みんなで釣ったヤミハタを料理してみましょう。
手軽でポップな雰囲気がいいなぁと、パンを使ってサンドメニューにすることにしましたよ。
みんなで釣ったヤミハタ。
数は少なかったですがグッドサイズがそろいました。
なかなかスゴイ歯をしていますね。
さばいてみればきれいな白身。
娘にサポートしてもらい…
フライパンでパン粉焼きにしてみました。フライよりお手軽なので我が家では良く作る魚メニューです。
レトロなイラストがかわいい、沖縄のローカルパン「健康パン」ではさんでみましょう。
千切りキャベツの上にポン。
手作りしたタルタルソースをかけていただきましょうね。
胚芽パンのバージョンも作ってみました。
「ヤミハタサンド」ではオシャレ感に乏しいので、「ヤミー☆サンド」と呼んであげようかなぁ。
ヤミーちゃんたら、おいしいね!!
今回のヤミハタのように、僕が沖縄で釣りをして出会うマイナーだけどかわいい魚、面白い魚ってまだまだいます。
これからもときどき紹介させていただきますね!