変貌!! 伊豆七島の看板エイ『イズヒメエイ』(新島)
変貌!! 伊豆七島の看板エイ『イズヒメエイ』(新島)
アカエイ科のエイの仲間には実に多くの仲間がいる。どのエイもそれぞれ身体のベースは似ていても、それぞれそのエイしかない特徴がある。
私はまだ見ぬエイを求め、伊豆七島は新島に渡った。
玄関口の横に広がるビーチ。新島は砂が白い為、海がとても綺麗に見える。
先ずは、スーパーで餌等の買い出し。
どの島もそうだが、レンタカーを借りないと最寄のスーパーまで1時間以上歩く事はザラにある。
普通に来島する方はレンタカーをオススメする。
スーパーは島の生活でも無くてはならない場所。島に数カ所はある事が多い。
お惣菜は島のスーパーによって種類、味も変わるので食べ比べるのはおススメ!!
○釣り開始!そしてエイ発見!
餌を揃えた所で、さっそく釣り開始!イカの切り身を餌にぶっ込み。海にはショゴ(小型のカンパチ)が泳いでいて生命感は抜群!!
ぶっ込み当たり待ち、この瞬間はワクワクで満ちている。
ぶっ込み釣りは待ち時間にルアーや餌、他の釣りもできるのが強み。ルアーを動かして誘うと、、、
ショゴ君(小型のカンパチ)がお出迎え!流石は離島。このサイズは砂浜のかなり浅い所まで上がってきてよく釣れた。さらに、ルアーの底引きで、、、
ヒラメ君も捕獲!新島の砂浜はヒラメでかなり有名である。ヒラメの色も砂浜の白に合わせて白っぽくなっていた。
そして、これを釣り上げた直後に沖に黒い謎の物体が浮上したのを確認。
「エイだ!!」
種類は確認できなかったが、なかなか巨大なエイが沖に泳いでいる。この場所にエイはいる!俄然、やる気が出てくる!
○ついにエイ捕獲!!
それからはエイを捕獲できずに、日が暮れようとしていた。ここで、ぶっ込みを更に一本追加。エイは岸壁沿いを回遊する習性を持つ為、足元に切り身餌を落とし込む。
これは式根島の写真だが、漁港の場合、矢印のように堤防の際を回遊している事が多い。特に底生のエイやサメはこの習性が強い。この為、水中を覗くと観察ができる事もある。
足元に切り身を落として数分。リールから強い勢いで糸が引き出されていく!!
「掛かった!!」
急いでフッキング!水中を見ると餌を食い逃げるエイの姿が!
強力なパワーで張り付くエイを相手にこちらも体重を掛けて応戦。
しばらくして体力を切らしたエイは水面へ!糸を引っ張り上げ岸へ上げる事に成功した!
ようやく釣り上げた!!尻尾には毒針がある為、よく注視しながら針を外す。
このエイは私自身もこの時が始めて!名をイズヒメエイという。
見た目はアカエイに似るがアカエイより体高が高くずんぐりむっくりした感覚。
またアカエイのように目元のオレンジ色は存在しない。ちなみに尾はアカエイより短いイメージ。
ヒレの縁は薄ピンクに縁取られている。
なにより特徴なのは裏側である。ヒレがアカエイが黄色で縁取られていたのに対し、茶色で縁取られている。また個体差はあるものの黒いぶちが付いている個体もいる。
このエイは伊豆という名前があるが実質は房総半島から九州まで幅広く生息している。名前の由来は伊豆半島で初めて発見されたから。
とはいえ、伊豆七島にはかなりの数が生息しているので、個人的には伊豆七島の看板エイだと思っている。
伊豆七島の漁港では、漁師さんが捨てる魚のアラを求めてこのエイが集う様を確認する事ができる。自然下で泳ぐ姿は迫力ありだ!
昼~夕方はこのエイ1匹だったが、イズヒメエイ自体はアカエイより小型で丸っぽく可愛らしい印象を覚えた!
しかしこの後、この印象だけでは終わらない出来事が起こる。
そう、、この時はまだこのエイの真の姿、真のパワーを私は知らなかったのである、、、
○夜の部!大変貌を遂げたエイ。
夜になり新島は爆風。とても外で立って釣りするには厳しい状況になり、レンタカー内に引っ込みアタリを待つ。海も大荒れでなかなかアタリの出ない状態が続く。
途中大爆睡し、同行した先輩の顔面を寝相悪さで殴ったり、かなりの睡眠妨害をしていた事はこの場を借りて謝罪したい。
そのまま当たりが出ないまま夜中の3時半を回った頃、突如として私の竿にアタリが!糸が激しく出て行く。私もすっかり目が覚めて竿を取り、フッキング!!
今回も成功!
しかし、先のイズヒメエイとは比較にならないほどの引き!
まさにエイ特有の潜水艦に引っ張られているような感覚!
どのエイもそうなのだが、巨大化したエイのファストランは正に不動の潜水艦。並みのリールでは止まらない。
しかしここをいなせるかが、勝負のカギになる。
しかし此方も眠たい身体にムチを打ち、必死に竿を高く上げエイを海底から引きずり剥がす!
しかしなかなか観念せず、剥がし張り付きを繰り返すエイに大苦戦!
先のエイとは比べ物にならず、苦戦しつつこちらも踏ん張っているとついにエイが浮上した!!
ここからは必死に糸を巻きエイを手前に寄せる。再び張り付かれ潜水艦モードが発動してしまうと太刀打ちができないからだ!
急いで堤防から砂浜に周り、謎エイを砂浜にずり上げる!!途中かなりの抵抗をした謎エイも観念したのか、ついに砂浜に姿を現した!
そのエイの正体は巨大なイズヒメエイ。しかし、その姿に驚愕した。
身体は黒褐色、漆黒のボディーを纏い、まるでダースベイダーのような声でうめいている。
老成個体は、先の可愛いイズヒメエイとはかけ離れた姿に成長していた。フォルムこそ小型のイズヒメエイと同じものの、全てがグレードアップされていた。
体色は黒と茶褐色を基調にした色に変色。体高だけでいえばあのマダラエイにも引けをとらない。先の張り付きの強さが伺える。
体の裏側は、やはりイズヒメエイの特徴を保っている。メタボ具合は恐ろしいが、、、。
成長を遂げたイズヒメエイは、身体からその生き様を感じられるような覇気に包まれていたエイだった。
小型種とはかけ離れた姿。育つまで数々の強敵に狙われた事もあっただろう。
このイズヒメエイは成長の過程で尾の先を捕食者に食い千切られていた。
ここまで育ち自分に出会ってくれた事に感謝しリリース。伊豆七島の看板エイ、イズヒメエイ。間違いなく海の中を泳ぐ強者の1匹であった。
○イズヒメエイの毒針について
エイの種類によって、毒針の形状も違う場合がある。今回釣れたイズヒメエイの毒針を持ち帰り磨いてみた。
左側がイズヒメエイ、右側がアカエイである。
アカエイに対してイズヒメエイの方が毒針は長く、太い。更にカエシがアカエイより細かく付いている為、かなり抜けづらくなるだろう。
伊豆七島の海水浴シーズンには恐らく、イズヒメエイの産卵シーズンにもぶつかる為、浅場で遭遇する機会が増えるだろう。
アカエイ科の決まり事だが、むやみやたらにちょっかいを出したり踏んだりするのは絶対にやめよう。既に11月の新島の海岸では多数のイズヒメエイを目で確認している。
とはいえ、こちらから危害を加えなければ向こうから襲ってくる事はない。距離を取れば撮影もできるし一緒に泳ぐ事だって可能だ。 エイは普段はかなり温厚な魚だ。
普段の野生では水族館以上にのーんびりしている。砂に潜っている場合もあるので踏みつけないよう注意しよう。
○さらば新島!!
巨大イズヒメエイを釣り上げる事に成功し、夜は明けた。
↑新島の夜明け、冬季の朝はいくら島といえども寒い。釣り等で外にいる場合は防寒をしっかりとしよう。
疲れ切った我々は出航までに疲れた身体を癒すべく、新島の温泉、湯の浜温泉へと向かった。
湯の浜温泉は24時間開放温泉。混浴で、シャワーも有料だがついている。なんだか中の雰囲気が遺跡みたいな感じがする笑。
シャンプーやボディーソープを持っていればいつでも身体を綺麗にできるしとても便利な場所だ。
新島はキャンプ等の設備も整っている為とても過ごしやすい島だった。
出航セレモニーも豪華!島での思い出が込み上げてくる瞬間だろう。
そして私も、この時に強く思う。
また来よう。島人や、一回りたくましくなった魚達とまた再会できることを信じて。自分も一回り立派にならないとな!と。
まだ見ぬエイ達を求めて、、、。