大阪市で捕獲された抱卵アリゲーターガー 国内における繁殖の可能性は?
大阪市で捕獲された抱卵アリゲーターガー 国内における繁殖の可能性は?
大阪 神崎川。
この大阪府北部を流れる淀川水系の一級河川で2017年6月にとある情報番組の撮影が行われた。
昨年から何度か現地調査を行う過程で複数匹の個体を目撃したり、実際に釣り上げたと言う方のお話も聞くことが出来た。
実は昨年の秋には推定160〜180センチはあろうかという巨大なアリゲーターガーが悠然と泳ぐ姿を確認している。
日本国内の純淡水域にこれだけの大きさの魚がいるのか!と素直に驚いたものだった。
出没地点の環境
この河川でアリゲーターガーが出没していたのは支流の分岐点付近や水門など水深や地形の変化がある場所。さらにその中でも水草が多く小魚や鯉が多く生息している場所だった
そういえばロケ中に釣れた鯉は丸々と太っていた。
餌が豊富で、大型魚の生育に適した環境なのだろう。
ちなみに、目撃例が出はじめたのは数年前から。ガーたちは放流されて以来、結構な期間をこの川の”主”として過ごしていることになる。
同じエリアに複数匹生息
昨年、寝屋川で捕獲した2匹のアリゲーターガー。
「大阪・寝屋川 アリゲーターガー捕獲記 (尾後幹太)」より
捕獲した場所は直線距離で約300mほどの近距離。2匹とも同日、ほとんど間をおかず発見、捕獲に至った。
たまたま生息に適した環境だったため複数個体が居合わせたとも考えられるが、何らかの理由で行動を共にしていた可能性もある。
また、神崎川でも約1キロの流程内で番組のロケ中だけでも複数個体を目撃している。群れをなす習性があるのかもしれない。
日本国内での繁殖の可能性
今回のロケでは神崎川と安威川の合流地点付近で一度アリゲーターガーを目撃したが、捕獲には至らなかった。
しかし、ロケとは別日に過去に複数匹のアリゲーターガーを釣られている篠原さんから番組スタッフへ連絡が。神崎川へ向かうとそこには…。
驚愕の巨大アリゲーターガーが。全長160センチ以上、体重も30キロはあろうかという大型個体。
日本国内の河川にこのサイズが生息しているとは!!
篠原さんはこれまでに何匹ものアリゲーターガーをルアーで狙い、釣り上げていた。サイズ!針の数!そしてワイヤー!
さらにこのアリゲーターガーはもう一つのサプライズを隠し持っていた。
長時間のファイトで衰弱していたこともあり番組内で食べるために解体したところ、お腹の中にはなんと!たくさんの卵を持っていた。
腹腔に詰まった大量の卵
成熟したメスであれば魚類が抱卵に至るのはさほど難しいことではないらしい。それが実際に産卵に至り、孵化して日本国内の環境で成長出来るかといえば疑問は残る。
とはいえ、やはり野外での繁殖を想起してしまう事実である。実際、捕獲された個体よりもはるかに若いとみられる小型個体も同じエリアで目撃されている。今後も引き続き調査を行っていきたい。
アリゲーターガーを食べる
番組内ではガー肉をバンバンジー風に調理して食べたそうですが我が家ではおすそ分けしてもらった肉をハンバーガーにして試食しました。
魚肉とも鶏肉ともつかない薄桃色の肉。一度冷凍、解凍すると肉質がもろくなるようだ。
臭みを抜くため、調理シートで包んで脱水。さらに牛乳に浸したり香草をまぶしたりと悪戦苦闘。
アリゲーターガーバーガー。…やっぱりちょっと泥臭い。
食感は鶏肉よりも全体的に筋が多く、ちょっと噛み切りにくい印象。
味は……。神崎川の水質が原因なのか?ちょっと泥臭い(撮影に同行した生物ライターの平坂さんが原産地のテキサスで捕獲した同程度の体格の個体は臭みがなかったそうです)。
結局いろいろと手は尽くしてみたものの完全に臭みをとることが出来ず、泥の臭いをかみしめながら食べ終えました。
※ガー科の特定外来生物指定
環境省によるとアリゲーターガーを含むガー科は2018年2月頃に特定外来生物に指定予定。さらに2018年4月頃には「飼養・運搬等」、「譲渡」、「輸入」等の規制開始(開始後6ヶ月以内に既に飼養等をしているものについて、申請が必要)とされる。
参考:環境ガー科の特定外来生物指定へ向けた今後のスケジュールについて