東京で見つけたカブトムシの楽園
東京で見つけたカブトムシの楽園
東京都民になってから3日目の晩。
引っ越し作業もひと段落し、家の近所を探索してみようと車でドライブに出た。カブトムシを探しに。
電車に乗れば渋谷駅まで5分という環境に、「自然と戯れて生活するのはちょっと難しくなったな…」そう感じていたが、引っ越し初夜に、なんとコフキコガネが家に迷い込んできた。意外とここにも自然は残っているかもしれない、そんな希望が見えた。
家の明かりにつられたのか、網戸にくっついていたところを捕まえた。触覚がなんとも可愛らしいコフキコガネ。
住宅街であるにもかかわらず、夜道にはヒキガエルの姿も。
最寄の公園や夜道から、虫が集まりそうな街灯が備えてあるか。虫が好む木や環境はあるのか。一つ一つチェックしながら走り回ること30分。これまでとは明らかに異なった、いかにも虫が集まりそうな街灯の光を公園の中に見つけた。
しかし住宅街の真ん中にある公園だ。車を停めるスペースがなかなか見つからない。気づけば車止めを探しているうちに公園を一周してしまっていた。
「今回のところは諦めて帰ろう」弱い気持ちに傾きかけたその時、ふと道路脇にカブトムシのようなシルエットが見えた気がした。まさか?と思ったが、一時停止して車を降りると、足元には見間違いようもない正真正銘のカブトムシ。
なんとあっさり捜索開始30分で、東京産のカブトムシを発見してしまった。
運転中に見つけたカブトムシ。一時停止所に車を止め、急いでスマートフォン撮影をした。焦って写真がブレてしまった。
東京、しかも23区内にある公園でカブトムシを見つけることができたことは素直に嬉しい。しかしツノは小さく、羽にはスジが浮き出ていたため、栄養状態はあまり良くなさそうに見えた。
「東京産のカブトムシは、どれもこうなのかな。」また気になり始めたので、少し離れた駐車場に車を止めて、公園内を捜索。すると街灯の下、またはその近くの樹液を出す木には、カブトムシやノコギリクワガタ、アブラゼミ(ゴキブリも)などの姿が。街灯を灯した夜の公園は、昆虫たちの楽園に変わっていた。
気になった栄養状態は、他の個体を観察したところ問題はなさそうでホッとした。
田舎に比べると小ぶりなきもするが、傷ひとつない綺麗なカブトムシも発見。
新月周りのこの日、公園内の至る所でセミの羽化を観察することができた。
子供たち憧れのムシキング、カブトムシ。東京の中心部にある公園の小さな自然の中にも、力強く生きるカブトムシの楽園は存在した。夏休み、親子で近くの公園を探してみてほしい。これはある意味、記憶に残る昆虫採集になるのではなかろうか。