スウェーデンで、あの“パーチカラー”のパーチを食べてみた!
スウェーデンで、あの“パーチカラー”のパーチを食べてみた!
“パーチカラー”のパーチ
ではでは、ある海外の魚についての問題です♬
むか~しから有名ルアー(疑似餌)の定番カラーということで日本の釣り人の間でも名前は広く知られているのに、その魚自体はあまり注目されず、どんな姿の魚なのか知らない人も多く、んでもって、わざわざ海外まで釣りに行くような人がいたとしたら「変人だ~」と言われてしまうゲームフィッシュな~~~んだ???
(って、もうトップ画像で答え出てますけどね。笑)
正解はパーチ!
こちらはドイツの釣り雑誌。
分布国では雑誌の表紙も飾るような人気魚なのだ。
ゴールドに、グリーンに輝く体に力強くストライプ。
勇ましくそそり立つ背ビレに、鮮やかなオレンジの腹びれ、尻びれ、尾びれ…。
そう、パーチったら、こんな凛々しい魚なのですよ!!
パーチカラーというとやはりフィンランドの老舗メーカー・ラパラ社のルアーを思い浮かべる。
我が家にあったものを並べてみた。
2015年に出かけたアイルランドで、パーチカラーのラパラCD5で釣ったブラウントラウト (Salmo trutta)。
同じ川でパーチが釣れたので、きっとこのサイズの稚魚は彼らの定番ごはんとなってるに違いない。
同じくラパラCD5で釣った、地元沖縄の海のムラサメモンガラ(Rhinecanthus aculeatus)。沖縄にパーチはいないが、いろいろとよく釣れちゃうカラーなのだ。
パーチってどんな魚?
さて、パーチと名がつく魚には、アフリカのナイルパーチ (Lates niloticus)や僕が住んでいる沖縄地方、オーストラリアなどに生息のジャングルパーチことオオクチユゴイ(Kuhlia rupestris)などいるが、一般に「パーチ」の3文字(英語だと5文字ですな)で呼ばれ釣り人の間で親しまれているものはスズキ目ペルカ種に属するヨーロピアンパーチ (Perca fluviatilis)と、その亜種とされるイエローパーチ (Perca flavescens)のようだ。
前者はイギリス、オランダ、チェコ、ロシアなどヨーロッパからシベリア圏に広く生息し、後者は北米やカナダに生息する。
調べてみるとよく釣れるサイズは20~30cmだが、どちらも最大で60cmくらいにまでに成長する。重さでは1kg越えとなるとランカー(記録級)ってことで、youtubeではそんな大物を手に「Awesome!! (すげぇや!)」と叫んでいる映像もたくさんアップされている。
※スカンジナビア発のyoutube釣りチャンネルのURLを記しておこう。
パーチの釣りもたっぷりと紹介されている。
「パーチ プロ」という番組もあり、地元での人気ぶりを感じてもらえると思うよ。
https://www.youtube.com/user/kanalgratisdotse
アイルランドの牧草地を流れる川で2016年に釣ったヨーロピアンパーチ。
What a beautiful fish !
※この地のパーチは移入種。
アメリカはミネソタ州の湖で1997年に釣ったイエローパーチ。
古い写真なのでちょっと恥ずかしいですなぁ。
イギリスで発行されたパーチの釣り方が書かれた書籍。釣り初心者におすすめの、日本で言えばフナやハゼ的存在、ポピュラーな入門魚のようだ。
20年ほど前にロンドンの釣り具店「farlows」で思わずジャケ買いならぬ表紙買いしてしまった1冊。
ナイルパーチを釣ったことはないが、こちらは沖縄本島で釣ったジャングルパーチことオオクチユゴイ。
イエローパーチに関しては2~3匹しか釣ったことがなく、画像も古いポジしか残っていないので、今回はスウェーデンで釣ったヨーロピアンパーチについて、僕の思い出話を重ねながら書いていきたい。
北欧スウェーデンでパーチ
スウェーデンには1998年、2000年、そして少し間を置き、2015年と、これまで3回出かけている。
いずれも知人より紹介された地元の釣り人を訪ね、メインとしてはノーザンパイク釣りを楽しんだのだが、パイクにとって大好物なエサでもあるパーチは彼らと生息域が重なるので、パイク狙いで投げていたルアーやフライにパーチがかかることもあったし、パイク釣りの合間にタックルをライトなものに変え、僕らは気分転換にパーチ釣りをした。
※ノーザンパイク(Esox lucius)…パーチと同じくヨーロッパや北米に生息の淡水魚。
以前書いた筆者のノーザンパイク記事 http://www.monstersproshop.com/ireland-pikefishing/
2000年釣行時に釣ったパーチ。
パイク狙いのゴツいワイヤーリーダー仕掛けだったが気にせずアタックしてきた。
パーチが自然分布しているこの国では、一般の間でも日常文化にとけ込んだおなじみの魚のようだ。
友人に会いに行く前にブラブラと散策したストックホルムの旧市街ガムラスタンでは、商店のディスプレイでこうしたものを見かけた。
おそらくは地元有名陶磁器メーカー・グスタフスベリで焼かれた工芸品。ビンテージもののようですなぁ。
ウッドクラフトのパーチ。ノーザンパイクやブラウントラウトもいい雰囲気だね。
古書で購入の図鑑に描かれていたパーチ。
それでは2015年の旅の際に釣ったパーチをお見せしながら話していこう♬
地元の釣友と小さな湖で
スウェーデンの友人ビヨン・ブロムキスト。
ファンタオレンジを冷やさず常温で飲むのが大好きなフィッシングフォトグラファーでありジャーナリスト。
2000年の釣行以来、15年ぶりの再会だった。
※彼のウェッブサイト http://outdoor.se/
「Hey、シン(彼は僕をこう呼ぶ)! ここ200年で一番寒い6月だ。シブいぞ~、釣れないぞ~」
ビヨンからそんなことを言われながらも降ったり止んだりの天候の中、3日間いっしょに小さな湖で釣りをした。
ほんとうにシブかった(笑)。
ちいさなパイクがたま~~に釣れてはくれたけれど。
※ビヨンと合流した日だけは晴れた。パイク釣りとは別に、その日の午後に楽しんだ北極イワナ釣りの記事はこちら(http://www.monstersproshop.com/sweden-arcticchar/)。
パイク&パーチ釣り初日にビヨンが連れて行ってくれた湖。
パーチは流れの緩やかな川の中流~下流域や湖沼、池に生息する。
6月後半というのに気温は12度くらいだった。雨の中の釣りは冷えたなぁ。
小さいけれどお見せしておきましょう。この魚が本命で狙っていたノーザンパイク。
僕にとっての最愛釣魚♡
パイク狙いのルアーにパーチがヒット。
パイクほど大きくはならないが彼らも小魚や甲殻類をエサとするフィッシュイーターなのでルアーをガンガン追ってくる。
ランチは湖畔の猟師小屋で。
家族も連れてきていたので、合流して焚き火をおこし、ソーセージを焼いた。
湖畔にはルピナスなどの花がきれいに咲いていた。
釣り最終日は「パイクもやるがパーチを釣ろう!」と湖に向かう車の中でビヨンが切り出した。
なんだか彼の表情がニヤニヤしていたので怪しかったのだが、
続けて聞いたセリフで僕はその意味を理解した。
「Hey、シン!パーチはものすごく美味しいんだ」
食材用パーチを確保せよ!
最終日に釣りをした湖の管理棟。
建物のカラーがなんとも北欧っぽい。
さぁ、出船。この日も雨が降ったり止んだり&寒くてハナタレ注意報発令中。
やっぱりパイクの反応はよくなかったので早々にパーチ釣りに切り替えた。
パーチにはこんなワーム(プラスチック製の疑似餌)が効くんだって!
他のルアーでは小魚の形をしたミノーやスピナーを使っても楽しい。
「このあたりよさそうだぞー」
ビヨンがボートに取り付けた魚群探知機を見つめながらパーチの居場所を探っていく。
気温もだが水温も低く、パーチは底付近にはりついていた。
ビヨンのアドバイスでワームを落とし込み、ゆっくりと泳がせながら誘っていった…。
しばらくしてビヨンにヒット!
わはは、ち、小さい~~~~っ。
ぼ、僕も頑張らねば~~。
やった! 釣りましたっ♬♬♬
このモヒカンのような背ビレが特徴。
背中をトントンと軽くたたくとピンッと立ててくれる。
かなりかっこいい魚だと僕は思うんだけど。
パイクと同様に苦戦しつつも、なんとかまぁまぁの数を釣ることができて食材用パーチを確保。僕らは夕方まで釣りを楽しみ(ってか苦行でした。笑)、湖を後にした。
釣りの最中にビヨンから聞いた話だが、パーチ釣りは夏がいいのだそうだ。水温も上がり動きも活発化し、群れに当たると入れ喰いとなって休む暇もないくらいで100匹オーバーも珍しくないのだとか。
おやおや、釣り人あるある!?
釣れないときのダレダレタイムって、この手の爆釣話が盛り上がるよね。
まぁ、半分の50匹だってすごい!
ビヨン、夏に行くときはそんな釣りの案内を頼むぜ!!
シブイながらもなんとかふたりで8匹キャッチ。
パーチは美味しいのだ
持って帰ったパーチはビヨンがさばき、「これがうまいんだ!」とシンプルなソテーを作ってくれた。
3枚に下ろし、
皮を取った身をフライパンに並べて火を入れる。
バターを落とし、塩で味を整えたらできあがり。
おお~っ、いい香りだぁ。
白身でくせもなく、旨味たっぷりのパーチソテー。
爽やかな酸味の効いたローカルソースをつけていただいたが、
こりゃ最高ですな。
「おいしい、おいしい」とビヨンと僕ら家族3人でつついたら、あっという間になくなってしまった。
フライやマリネ、たたいてフィッシュボールにしてスープやトマト煮にしたり、和風で味噌漬けや煮付けにしてもうまいはずですぞ、こりゃ。
ああ、つぎに来るときはみりんと醤油も持ってこなきゃ!
ビヨンが言うには、
「サーモンは毎日食べたら飽きるけど、パーチは毎日でも食べられる。ほんとうに美味しい魚だよ!!」
市場には流通しない魚なのだが、喜ばれるのでレストランに卸している釣り仲間もいるそうな。
パーチは日本の魚でいうとメバルに似ているような気がした。
よく釣れるあたりのサイズ感といい、姿形といい、食べて美味しいこと、いろんな料理に合うこと…。
それでは最後にビヨンが見せてくれたナイスなパーチで締めくくろう。
このくらいになるとバスっぽいノリもあってかっこいいなぁ。50cm級のランカーサイズを僕も釣ってみたい。
なんとなくだけど、この魚に興味を持ってもらえたかな。
これまでパーチカラーを知っていても、実際のパーチとは頭の中でつながらなかった方が、今回の記事で「ああこんな魚なんだ」と知ってもらえたらとてもうれしい。また機会があれば、いつかこの魚を食べて、その美味しさを確かめてみてほしい。
再来年を予定しているけれど、スウェーデンまでパイクを釣りに行きがてら、この魚を今一度真剣に狙ってみたいと思っている。
その時はあらためてレポートするのでよろしくね!